ラチェット効果(歯止めの効果)
らちぇっとこうか
ひとことで言うと
所得が低下しても過去の最高消費水準が維持されやすい、消費の非対称性・下方硬直性を示す現象。
解説
所得が減少しても消費水準が過去の最高水準からなかなか低下しない現象のこと。デューゼンベリーの時間的相対所得仮説で説明される。一度上がった消費水準は下がりにくいという消費の非対称性を示す重要な概念である。
くわしく解説
ラチェット効果(歯止めの効果)はジェームズ・デューゼンベリーが提唱した時間的相対所得仮説における核心概念である。歯止め(ラチェット)とは一方向にしか回らない歯車を意味し、消費水準が過去の最高値に到達すると、その後所得が低下しても消費は容易に元の水準には戻らないことを示す。これは習慣形成(消費習慣が固定化されること)と社会的地位の維持(周囲との消費水準を合わせようとすること)が原因とされる。景気後退局面で消費が下落しにくいのはこのラチェット効果が働くためと説明される。ケインズ消費関数が単純な比例関係を仮定するのに対し、デューゼンベリーは消費の非対称性という現実の観察に基づいた消費理論を構築した。恒常所得仮説・ライフサイクル仮説と並ぶ消費理論の重要概念である。
具体例で考えよう
バブル期に高級車や海外旅行を習慣化した家庭が、不況で収入が2割減少しても「今さら国内旅行には戻れない」と行動パターンを変えられず、貯蓄を切り崩してでも従来の消費水準を維持しようとする現象がラチェット効果の典型例である。
試験対策ポイント
「デューゼンベリー=ラチェット効果・時間的相対所得仮説」の対応を確実に覚える。「所得↓でも消費↓しにくい=下方硬直性」という方向性を正確に把握する。ライフサイクル仮説・恒常所得仮説との提唱者の混同に注意。