時間的相対所得仮説
じかんてきそうたいしょとくかせつ
ひとことで言うと
過去の最高所得水準が現在の消費に影響するというデューゼンベリーの消費仮説で、ラチェット効果を説明する。
解説
デューゼンベリーが提唱した消費理論で、消費は過去の最高所得水準に影響されるという仮説。所得が減少しても消費水準は簡単には低下しないラチェット効果を説明する。空間的相対所得仮説と合わせて相対所得仮説を構成する。
くわしく解説
時間的相対所得仮説は、デューゼンベリーが1949年に提唱した消費理論である。この仮説の核心は、人々の消費水準が現在の所得だけでなく、過去に経験した最高所得水準(ピーク所得)によっても規定されるという点にある。所得が増加する局面では消費は所得に比例して増加するが、所得が減少した場合には過去の最高消費水準を維持しようとする心理的・習慣的メカニズムが働く。この結果、所得減少時に消費が下方硬直的となる現象を「ラチェット効果」と呼ぶ。ちょうちょうつきのラチェットレンチのように、一方向にしか動かないことから命名された。空間的相対所得仮説(他者との比較)と並んで相対所得仮説を構成し、ケインズの絶対所得仮説やフリードマンの恒常所得仮説と対比して理解することが重要である。景気後退期に消費が想定ほど落ち込まない現実経済の現象を説明する理論として有用である。
具体例で考えよう
年収800万円を経験したサラリーマンが、業績悪化で年収600万円に下がっても、高級車のローンや外食習慣をなかなかやめられない。過去の生活水準を維持しようとするこの行動がラチェット効果の典型例である。
試験対策ポイント
ラチェット効果が時間的相対所得仮説のキーワード。ケインズ(絶対所得)・フリードマン(恒常所得)・モジリアーニ(ライフサイクル)との比較で出題される。空間的相対所得仮説(他者比較)との違いも押さえること。