排出権取引
はいしゅつけんとりひき
ひとことで言うと
汚染排出枠を設定して市場取引を認め、効率的に環境目標を達成する市場型環境政策の手段。
解説
環境汚染物質の排出枠を設定し、その取引を認めることで効率的に汚染削減を実現する制度。コースの定理の応用であり、ピグー税と並ぶ市場メカニズムを活用した環境政策の手段である。
くわしく解説
排出権取引(キャップ・アンド・トレード)とは、政府が温室効果ガスなどの汚染物質の排出総量の上限(キャップ)を設定し、各事業者に排出枠(クレジット)を割り当て、その余剰・不足分を事業者間で売買できるようにする制度を指す。削減費用の低い企業が積極的に削減して余った枠を売り、削減費用の高い企業がその枠を買うことで、社会全体の削減費用を最小化できる。コースの定理(外部性の内部化)の応用として位置づけられ、ピグー税(炭素税など)と並ぶ市場メカニズムを活用した環境政策の代表的手段である。EUの排出権取引制度(EU ETS)が世界最大規模の実例として知られる。試験ではピグー税との比較問題が頻出。
具体例で考えよう
製鉄会社Aは設備更新で排出削減が容易なため積極的に削減し、余った排出枠を排出削減コストの高い化学会社Bに売却する。社会全体として同じ削減量をより低いコストで実現できる。
試験対策ポイント
排出権取引とピグー税(炭素税)の比較は頻出。排出権取引は「量を固定・価格は市場で決定」、ピグー税は「税率を固定・削減量は市場で決定」という違いを整理。コースの定理との関連も確認。