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評価と更新

第4章 設備の管理

設備の効率を定量的に評価することは、改善活動の出発点です。設備総合効率(OEE)やMTBF・MTTR・アベイラビリティなどの指標を用いて、設備がどれだけ有効に稼働しているかを測定します。7大ロスの理解とともに、これらの指標の計算方法を確実に身につけましょう。

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設備総合効率(OEE)

簡単にいうと

簡単にいうと、設備総合効率は「設備がどれだけ有効に使われているか」を3つの指標の掛け算で表す総合的な評価指標です。

設備総合効率(OEE:Overall Equipment Effectiveness)は、設備の稼働効率を総合的に評価する指標です。以下の3つの効率の積で求めます。

設備総合効率=時間稼働率×性能稼働率×良品率設備総合効率 = 時間稼働率 \times 性能稼働率 \times 良品率

時間稼働率は、負荷時間(設備が稼働すべき時間)に対して、実際に稼働した時間の割合です。

時間稼働率=負荷時間停止時間負荷時間時間稼働率 = \frac{負荷時間 - 停止時間}{負荷時間}

性能稼働率は、稼働時間中に設備が理論上の能力をどれだけ発揮したかの割合です。速度低下やチョコ停(短時間の停止)の影響を反映します。

性能稼働率=基準サイクルタイム×加工数量稼働時間性能稼働率 = \frac{基準サイクルタイム \times 加工数量}{稼働時間}

良品率は、加工した製品のうち良品が占める割合です。

良品率=加工数量不良数量加工数量良品率 = \frac{加工数量 - 不良数量}{加工数量}

具体例

負荷時間480分、停止時間60分、基準サイクルタイム0.5分/個、加工数量760個、不良数量40個の場合:

時間稼働率=(480-60)/480=87.5%

性能稼働率=(0.5×760)/420=90.5%

良品率=(760-40)/760=94.7%

設備総合効率=87.5%×90.5%×94.7%=75.0%

負荷時間から価値稼働時間までのOEE構成を示すウォーターフォール図

設備総合効率(OEE)の構成

試験のポイント

  • 設備総合効率=時間稼働率×性能稼働率×良品率の公式は必ず覚えましょう
  • 各効率の計算式と、それぞれがどのロスに対応するかを理解しましょう
  • 具体的な数値を使った計算問題が頻出です
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設備の7大ロス

簡単にいうと

簡単にいうと、7大ロスは「設備が100%の力を発揮できない7つの原因」を体系的にまとめたものです。

設備総合効率を低下させる要因は7大ロスとして整理されています。

停止ロス(時間稼働率に影響):

1. 故障ロス:突発的な設備故障による停止

2. 段取り・調整ロス:品種切替時の段取り替えや調整による停止

性能ロス(性能稼働率に影響):

3. チョコ停ロス:一時的な機能停止(トラブルの原因を除去すれば復帰する短時間の停止)

4. 速度低下ロス:設備の理論速度と実際の稼働速度の差

不良ロス(良品率に影響):

5. 不良・手直しロス:不良品の発生と手直しにかかるロス

6. 立ち上がりロス:設備起動から安定稼働に至るまでに発生する不良

7. 刃具交換ロス(※6大ロスに刃具交換ロスを加えて7大ロスとする場合もあります)

具体例

プレス機のラインで7大ロスを分析すると、段取り・調整ロスが全体の30%を占めていることが判明。シングル段取り(SMED)の導入により段取り時間を50%短縮し、時間稼働率が10ポイント向上しました。

ロス分類
ロス名
影響する効率
停止ロス
故障ロス
時間稼働率
停止ロス
段取り・調整ロス
時間稼働率
性能ロス
チョコ停ロス
性能稼働率
性能ロス
速度低下ロス
性能稼働率
不良ロス
不良・手直しロス
良品率
不良ロス
立ち上がりロス
良品率

試験のポイント

  • 7大ロスがOEEの3つの効率(時間稼働率・性能稼働率・良品率)のどれに対応するか理解しましょう
  • チョコ停ロスと故障ロスの違い(チョコ停は短時間で復帰可能、故障は部品交換が必要)を区別しましょう
  • 立ち上がりロスは「品質ロス」に分類される点に注意
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MTBF・MTTR・アベイラビリティ

簡単にいうと

簡単にいうと、MTBFは「故障と故障の間隔(長いほど良い)」、MTTRは「修理にかかる時間(短いほど良い)」、アベイラビリティは「設備が使える割合」です。

設備の信頼性と保全性を評価する代表的な指標は以下の3つです。

MTBF(Mean Time Between Failures:平均故障間隔)は、故障と故障の間の平均稼働時間です。この値が大きいほど設備の信頼性が高いことを意味します。

MTBF=総稼働時間故障回数MTBF = \frac{総稼働時間}{故障回数}

MTTR(Mean Time To Repair:平均修復時間)は、故障を修復するのに要する平均時間です。この値が小さいほど設備の保全性(整備性)が高いことを意味します。

MTTR=総修復時間故障回数MTTR = \frac{総修復時間}{故障回数}

アベイラビリティ(可用率・稼働率)は、設備が必要なときに使用可能な状態にある割合です。信頼性(MTBF)と保全性(MTTR)の両方を統合した指標です。

アベイラビリティ=MTBFMTBF+MTTRアベイラビリティ = \frac{MTBF}{MTBF + MTTR}

具体例

設備Aが100時間稼働して2回故障し、修復に計4時間かかった場合:

MTBF=100÷2=50時間

MTTR=4÷2=2時間

アベイラビリティ=50÷(50+2)=96.2%

劣化損失の6分類ツリー図(物理的劣化と経済的陳腐化)

設備更新における劣化損失の6分類

試験のポイント

  • MTBF=信頼性(大きいほど良い)、MTTR=保全性(小さいほど良い)の対応関係を押さえましょう
  • アベイラビリティ=MTBF÷(MTBF+MTTR)の公式は必ず覚えましょう
  • 計算問題では、総稼働時間と故障回数からMTBF・MTTRを求め、アベイラビリティを計算する流れが定番です
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設備更新と劣化損失

簡単にいうと

簡単にいうと、設備更新は「古くなった設備を新しいものに取り替える」ことです。劣化が進むと生産量低下や品質悪化など6種類の損失が生じるため、更新のタイミング判断が重要です。

設備更新とは、設備の劣化や陳腐化に対応して設備を取り替える活動です(JIS Z 8141-6601)。

設備の老朽化には2つの側面があります。

物理的劣化:使用や経年によって設備の性能・機能が低下すること。摩耗、腐食、疲労破壊などが原因です。

経済的陳腐化:技術の進歩や市場環境の変化により、設備の性能が相対的に劣るようになること。設備自体は正常に稼働していても、より高性能・高効率な設備の登場により競争力が低下します。

劣化損失の6種類

損失の種類内容
生産減損失設備能力の低下による生産量の減少
品質低下損失加工精度の低下による不良品の増加
コスト増大損失修繕費・エネルギー費の増大
納期遅れ損失故障や性能低下による納期遅延
安全性低下損失設備の安全性能の低下による災害リスク
作業環境悪化損失騒音・振動・油漏れ等による環境悪化

設備更新の意思決定では、物理的劣化と経済的陳腐化の両面を考慮し、更新費用と劣化損失を比較して最適なタイミングを判断します。

具体例

10年前の加工機は稼働可能ですが、最新機種と比べてエネルギー効率が40%低く(コスト増大損失)、加工精度も低下して不良率が上昇(品質低下損失)していました。劣化損失の合計が年間500万円に達したため、2000万円の新設備に更新する判断を行い、4年で投資を回収する計画を立てました。

区分
物理的劣化
経済的陳腐化
原因
摩耗・腐食・疲労等の物理的要因
技術進歩・市場変化
性能変化
設備自体の性能が絶対的に低下
相対的に性能が劣位になる
設備の状態
正常に稼働できない場合がある
正常に稼働していても発生する

試験のポイント

  • 劣化損失の6種類の名称と内容を覚えましょう
  • 物理的劣化(性能の絶対的低下)と経済的陳腐化(相対的な性能劣位)の違いを押さえましょう
  • 設備更新の定義(JIS Z 8141-6601)の内容を理解しましょう

まとめ

テーマ
ポイント
注意点
設備総合効率
時間稼働率×性能稼働率×良品率
各効率の計算式を正確に覚える
7大ロス
停止ロス・性能ロス・不良ロスの3分類
どのロスがどの効率に影響するか対応を覚える
MTBF/MTTR
MTBF=信頼性、MTTR=保全性
アベイラビリティの公式を覚える
設備更新
物理的劣化と経済的陳腐化への対応として設備を取り替えます
劣化損失の6種類を覚えましょう

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