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投資と利子率

生産物市場(財市場)の分析

この節では、投資が利子率によってどのように決定されるかを学び、その関係から生産物市場の均衡を表すIS曲線を導出します。IS曲線はIS-LM分析の土台となる最重要概念のひとつです。

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投資の利子弾力性

簡単にいうと

利子率が下がると企業は「借りて投資しよう!」ってなるよね。この反応の大きさが「投資の利子弾力性」で、IS曲線の形を左右する超重要概念!

① 投資関数と利子率の関係

投資関数I=I(i)I = I(i)は、投資水準が利子率iiの減少関数であることを示します。企業が設備投資を行うには資金調達が必要であり、借入金利が高ければ投資コストが増大するため、利子率が上昇すると投資は減少します。逆に利子率が低下すると借入コストが下がるため、採算が合うプロジェクトが増え、投資が拡大します。このメカニズムこそが、金融政策が実体経済に影響を与える経路(金利チャネル)です。

② 投資の限界効率

投資の限界効率とは、投資を1単位追加したときに期待される収益率のことです。企業は投資判断を行う際に、この限界効率と市場利子率を比較します。限界効率が利子率を上回っていれば投資は有利なので実行し、下回っていれば投資は不利なので見送ります。最終的に、投資の限界効率と利子率が一致する水準まで投資が行われることになります。

③ 投資の利子弾力性とIS曲線への影響

投資の利子弾力性とは、利子率が1%変化したときに投資がどれだけ変化するかを表す指標です。この弾力性が大きいほど、利子率の変化に対して投資が敏感に反応します。その結果、利子率の小さな変化でも大きな投資変動が生じ、乗数効果を通じて国民所得が大きく変動するため、IS曲線はフラット(緩やか)になります。逆に弾力性が小さい場合、利子率が変わっても投資はあまり変化せず、IS曲線はスティープ(急)になります。

具体例

投資の利子弾力性が異なる2つの経済を比較してみましょう。

【経済A: 利子弾力性が大きいケース】

投資関数I=1002000iI = 100 - 2000iとします。

ステップ1 利子率が5%から3%に低下したとしましょう。

I(0.05)=100100=0I(0.05) = 100 - 100 = 0I(0.03)=10060=40I(0.03) = 100 - 60 = 40

利子率2%の低下で投資が40も増加します。

ステップ2 この投資増加が乗数効果(c=0.8c=0.8で乗数5)を通じてGDPを40×5=20040 \times 5 = 200も増加させます。

【経済B: 利子弾力性が小さいケース】

投資関数I=100500iI = 100 - 500iとします。

ステップ1 同じく利子率が5%から3%に低下した場合、

I(0.05)=10025=75I(0.05) = 100 - 25 = 75I(0.03)=10015=85I(0.03) = 100 - 15 = 85

投資の増加は10にとどまります。

ステップ2 GDPの増加は10×5=5010 \times 5 = 50です。

同じ利子率の変化でもGDPへの波及が全く違うことがわかりますね。経済Aの方がIS曲線がフラットになります。

試験のポイント

  • 要は「投資の利子弾力性が大きい=利子率変化に投資が敏感=IS曲線がフラット」
  • 投資の限界効率と利子率の比較で投資判断する仕組み、利子弾力性の大小がIS曲線の傾きにどう影響するかの判別が頻出
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IS曲線の導出

簡単にいうと

IS曲線は「財市場が均衡する利子率とGDPの組み合わせ」を描いた線!利子率が下がれば投資が増えてGDPも増えるから、右下がりになるよ!

① IS曲線の意味と導出の論理

IS曲線とは、生産物市場(財市場)が均衡する利子率iiと国民所得YYの組み合わせをii-YY平面上に描いた軌跡です。ISという名前は Investment = Saving(投資=貯蓄)の頭文字で、財市場の均衡条件を反映しています。導出の論理は明快で、利子率が低下すると投資が増加し、その投資増加が乗数効果を通じて均衡国民所得を拡大させます。したがって利子率iiが低いほど国民所得YYは大きくなり、この関係を図示すると右下がりの曲線になります。

② IS曲線の上側・下側の領域

IS曲線上の各点では財市場が均衡していますが、曲線から外れた領域はどうなるでしょうか。IS曲線の左上の領域では、利子率が均衡水準よりも高いため投資が過小で、総供給が総需要を上回る超過供給YS>YDY_S > Y_D)の状態にあります。逆にIS曲線の右下の領域では、利子率が均衡水準よりも低いため投資が過大で、総需要が総供給を上回る超過需要YD>YSY_D > Y_S)の状態です。

③ IS曲線の傾きとシフト要因

IS曲線の傾きは、限界消費性向cc投資の利子弾力性の2つで決まります。ccが大きいほど乗数が大きくなり、また投資の利子弾力性が大きいほど利子率変化の影響が大きくなるため、いずれもIS曲線をフラットにする方向に作用します。一方、IS曲線のシフト要因としては、政府支出GGの増加や減税(TTの減少)が挙げられ、これらは総需要を直接増加させるためIS曲線を右にシフトさせます。シフト幅は「需要変化額×\times乗数」で計算できます。

具体例

具体的な数値からIS曲線を導出してみましょう。

消費関数C=0.8(YT)+20C = 0.8(Y - T) + 20、投資関数I=80400iI = 80 - 400i、政府支出G=30G = 30、租税T=25T = 25とします。

ステップ1: 均衡条件を立てる

Y=C+I+G=0.8(Y25)+20+(80400i)+30Y = C + I + G = 0.8(Y - 25) + 20 + (80 - 400i) + 30

ステップ2: 整理する

Y=0.8Y20+20+80400i+30Y = 0.8Y - 20 + 20 + 80 - 400i + 30

Y0.8Y=110400iY - 0.8Y = 110 - 400i

0.2Y=110400i0.2Y = 110 - 400i

Y=5502000iY = 550 - 2000i

ステップ3: 具体的な点を確認する

i=0.05i = 0.05のとき: Y=550100=450Y = 550 - 100 = 450

i=0.10i = 0.10のとき: Y=550200=350Y = 550 - 200 = 350

利子率が高いほど国民所得が小さくなる、右下がりの直線です。

ステップ4: 政府支出が10増加した場合のシフト

乗数10.2=5\frac{1}{0.2} = 5なので、シフト幅=10×5=50= 10 \times 5 = 50

新しいIS曲線: Y=6002000iY = 600 - 2000i(右に50シフト)

政府支出増加・減税によるIS曲線の右シフトを示すグラフ。シフト前(点線)とシフト後(実線)の均衡点の変化

IS曲線の右シフト(拡張的財政政策)

投資関数からIS曲線が導出される過程を示す左右2パネルグラフ

IS曲線の導出過程(投資関数 → IS)

試験のポイント

  • 要は「利子率↓→投資↑→乗数効果でGDP↑ だからIS曲線は右下がり」
  • IS曲線の式の導出計算、上側=超過供給・下側=超過需要の判別、GG増加や減税によるシフト幅(変化額×\times乗数)の計算が頻出

まとめ

概念
内容
ポイント
投資関数
I=I(i)I = I(i)で利子率の減少関数
利子率↓→投資↑
投資の限界効率
追加投資1単位の期待収益率
利子率と比較して投資判断
利子弾力性:大
IS曲線がフラット
利子率変化の影響大
利子弾力性:小
IS曲線がスティープ
利子率変化の影響小
IS曲線
財市場均衡のii-YY軌跡
右下がり
IS曲線の上側
超過供給(YS>YDY_S > Y_D
利子率が高すぎる
IS曲線の下側
超過需要(YD>YSY_D > Y_S
利子率が低すぎる
IS右シフト
GG増加・減税・II増加
シフト幅=変化額×乗数

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