流動性のわな
りゅうどうせいのわな
ひとことで言うと
利子率が極低水準で貨幣需要が無限大となり、金融政策(貨幣供給増加)が利子率を下げられなくなる状態。
解説
利子率が極めて低い水準にあり、貨幣需要の利子率弾力性が無限大となる状態。この状態では金融政策(貨幣供給の増加)が利子率を低下させられず、金融政策が無効となる。LM曲線が水平となる部分に対応し、ケインズが指摘した重要な概念である。
くわしく解説
流動性のわな(liquidity trap)は、利子率が非常に低い水準に達したとき、債券の価格が高く将来の価格下落リスクが大きいため、経済主体が資産をすべて現金(流動性)で保有しようとする状態を指す。この状態では貨幣の投機的需要が無限大(貨幣需要の利子弾力性が無限大)となるため、中央銀行がどれだけ貨幣供給を増やしても、追加的な貨幣はすべて現金として吸収されてしまい、利子率を下げることができない。IS-LM図表ではLM曲線の左端が水平になる部分がこれに対応する。水平のLM曲線の領域では金融政策(LM曲線のシフト)は所得に影響を与えられず、財政政策(IS曲線のシフト)のみが有効となる。日本の1990年代後半以降のゼロ金利下の状況が現実の例として挙げられる。
具体例で考えよう
銀行の貸出金利がほぼ0%に近い状況で中央銀行が量的緩和を行っても、企業や家計は投資・消費を増やさず、資金が市中で滞留する「ブタ積み」状態になる。これは流動性のわなの現代的な現れである。
試験対策ポイント
「流動性のわな=LM曲線が水平=金融政策無効=財政政策有効」という4点セットを確実に押さえる。ケインズが指摘した概念であることも重要。完全雇用域(LM曲線が垂直)での「クラウディングアウト」と対比して覚えると整理しやすい。