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テキスト/中小企業経営・政策/資金供給の円滑化・信用補完制度・関連税制

資金供給の円滑化・信用補完制度・関連税制

第6章 中小企業施策

中小企業が事業を継続・発展させるうえで欠かせないのが「お金の調達」です。しかし中小企業は担保力や信用力が低く、民間金融機関だけでは十分な資金供給が行き届かないことがあります。そこで政府は「融資」「信用補完(保証)」「自己資本の充実」「優遇税制」という4つの柱で中小企業の資金アクセスを支援しています。日本政策金融公庫・商工中金・信用保証協会の役割と、それぞれの数字(支店数・保証限度額・税率)を正確に押さえましょう。

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政府系中小企業金融機関(日本政策金融公庫・商工中金)

簡単にいうと

民間銀行に断られがちな中小企業・創業企業への融資を担う政府系金融機関——日本政策金融公庫と商工中金の役割の違いを整理しよう。

民間銀行は収益性や担保を重視するため、創業間もない企業や担保の乏しい小規模事業者への長期・固定金利融資を敬遠する傾向があります。この市場の空白を埋めるのが政府系金融機関の役割です。

日本政策金融公庫は全額政府出資の政策金融機関で、全国152支店を通じて融資を行います。「国民生活事業」は主に小規模企業・創業企業への事業資金を長期固定金利で直接貸付(直接貸付)し、代理店経由の代理貸付も行います。「中小企業事業」は主に長期固定金利の設備資金を中規模企業に供給します。

商工組合中央金庫(商工中金)は、政府と中小企業組合員が共同出資する協同組合金融機関です。国内102店舗・海外5店舗を持ち、中小企業組合や組合員への資金供給を担っています。政府保有株式は令和6年度中に完全民営化の見通しとなっています。

試験のポイント

  • 日本政策金融公庫:全額政府出資・全国152支店(令和6年3月31日現在)
  • 国民生活事業:小規模企業・創業企業への事業資金・長期固定金利
  • 中小企業事業:長期固定金利の中小企業向け設備資金
  • 貸付方法:本支店で直接貸付(直接貸付)または代理店窓口で融資(代理貸付)
  • 商工中金:政府所有株式は令和6年度中に完全民営化の見通し
  • 商工中金:国内102店舗・海外5店舗
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信用補完制度(信用保証制度・信用保険・信用保証協会)

簡単にいうと

担保が少ない中小企業でも借りやすくする仕組みが「信用補完制度」——信用保証協会が「保証人」になってくれる、この三者の関係を理解しよう。

中小企業が銀行から融資を受けようとしても、担保・信用力が不十分で断られるケースがあります。これを解決するのが信用補完制度で、「信用保証制度」と「信用保険」の2つの仕組みで構成されています。

仕組みの流れを見ると、①中小企業が信用保証協会に保証を申し込み、②協会が「保証人」となることで銀行が融資に応じ、③万一の際は協会が代位弁済(銀行に代わって返済)し、④その損失を日本政策金融公庫の信用保険が一定割合で補填する——という三者構造です。

信用保証協会は全国51か所(47都道府県+横浜・川崎・名古屋・岐阜の各市)に設置されています。保証割合は原則80%(一部100%の制度あり)で、保証料率は借入金額に対しておおむね0.45〜2.2%です。

保証の種類
一般保証限度額
普通保証
2億円
無担保保証
8,000万円
無担保無保証人保証(特別小口保証)
2,000万円

試験のポイント

  • 信用保証協会:全国51か所(各都道府県+横浜・川崎・名古屋・岐阜の各市に1つずつ)
  • 保証限度額(一般保証):普通保証2億円・無担保保証8,000万円・無担保無保証人保証(特別小口保証)2,000万円
  • 無担保無保証人保証(特別小口保証):小規模企業(従業員20人以下、商業・サービス業は5人以下)が対象、保証割合100%
  • 保証料率:借入金額に対しおおむね0.45〜2.2%、各信用保証協会が決定
  • 保証割合:原則80%
  • 信用保険:代位弁済額の70%または80%を日本政策金融公庫から支払い
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セーフティネット貸付・女性・若者・シニア起業家支援資金

簡単にいうと

コロナ・災害・取引先の倒産……予期しない経営危機に見舞われた中小企業を素早く支える「緊急融資」とは?

通常の事業環境では問題なく経営できていた中小企業も、外部環境の急変(感染症・自然災害・取引先倒産など)により突如として資金難に陥ることがあります。こうした事態に対応するのが日本政策金融公庫のセーフティネット貸付です。

セーフティネット貸付には3つの類型があります。①経営環境変化対応資金:社会的・経済的環境変化により業況が悪化した中小企業向け。②金融環境変化対応資金:金融機関の経営破綻等で資金調達が困難な場合。③取引企業倒産対応資金:主要取引先の倒産で売掛金の回収が困難になった場合。

また、起業機会の拡大を図る女性・若者・シニア起業家支援資金では、女性(年齢制限なし)・若者(35歳未満)・高齢者(55歳以上)が新規開業後おおむね7年以内であれば優遇金利で融資を受けられます。「据置期間」とは元本の支払いが猶予される期間で、その間は利息のみ支払えばよい仕組みです。

試験のポイント

  • セーフティネット貸付の3類型:①経営環境変化対応資金 ②金融環境変化対応資金 ③取引企業倒産対応資金
  • 据置期間とは:元本の支払いが猶予される(据え置かれる)期間のことで、その間は利息のみ支払えばよい
  • 女性・若者・シニア起業家支援資金:女性(年齢制限なし)・若者(35歳未満)・高齢者(55歳以上)が新規開業しておおむね7年以内の者が対象
  • 貸付限度額:7億2,000万円(直接貸付の場合)
  • 設備資金:20年以内(うち据置2年以内)、運転資金:7年以内(うち据置2年以内)
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自己資本の充実(中小企業投資育成会社・投資事業有限責任組合)

簡単にいうと

借金(負債)だけでなく「株式(自己資本)」で資金を調達する——中小企業の資本強化を公的に支援する仕組みとは?

中小企業の資金調達は融資(負債)に偏りがちですが、自己資本が充実すると財務基盤が安定し、さらなる投資や借入の際の信用力も高まります。政府は中小企業の株式による資金調達を支援するため、中小企業投資育成株式会社を設置しています。

中小企業投資育成株式会社は東京・名古屋・大阪の3か所に設置された政策実施機関で、原則として資本金3億円以下の株式会社への①株式の引受け ②新株予約権の引受け ③新株予約権付社債の引受け——の3種類の投資を行います。また投資先企業に対して①経営安定化 ②事業承継支援 ③人材育成支援の育成事業(コンサルテーション)も提供します。

投資事業有限責任組合(LPS)は投資事業有限責任組合契約に関する法律に基づく組合(法人格あり)で、有限責任の投資スキームを通じて年金基金・海外投資家からの資金供給を促進します。後述する有限責任事業組合(LLP)との違い(LLPは法人格なし)に注意が必要です。

試験のポイント

  • 中小企業投資育成株式会社:東京・名古屋・大阪の3か所に設置
  • 投資対象:原則として資本金3億円以下の株式会社(特別法の特例:資本金3億円超も可)
  • 投資の種類:①株式の引受け ②新株予約権の引受け ③新株予約権付社債の引受け
  • 育成事業(コンサルテーション):①経営安定化 ②事業承継支援 ③人材育成支援
  • 投資事業有限責任組合(LPS):投資事業有限責任組合契約に関する法律に基づく組合・法人格あり
  • LPSは有限責任で年金基金・海外投資家からの資金供給を促進する目的
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中小企業関連税制(軽減税率・少額減価・賃上げ・先端設備)

簡単にいうと

中小企業には「法人税軽減税率」「少額減価償却の特例」など多くの優遇税制がある——ただし適用期限と対象の数字を正確に覚えることが試験の要。

中小企業は大企業に比べ収益力が低く、税負担が経営を圧迫しやすいため、様々な税制優遇措置が設けられています。これらは「利益に対する課税」「設備投資時の課税」「人への投資に対するインセンティブ」の3方向から中小企業を支援しています。

法人税の軽減税率:法人税法上の「中小法人」(資本金1億円以下)は年所得800万円以下の部分に通常19%(令和7年3月31日まで15%の特例)が適用されます。800万円超は大企業と同じ23.2%です。

少額減価償却資産の特例:取得価額30万円未満の減価償却資産を一括で全額損金算入できる特例(合計300万円限度・令和8年3月31日まで)。通常は10万円未満のみ一括損金算入できるところ、中小企業は30万円未満まで対象が拡大されています。

賃上げ促進税制(R6.4〜R9.3)は、雇用者給与等支給額を前年比1.5%以上増やすと増加額の15%を税額控除できる制度で、教育訓練費10%以上増でさらに10%上乗せされます。

先端設備等導入計画制度は、市区町村の認定計画で取得した設備の固定資産税を3年間2分の1に軽減する制度(令和7年3月31日まで)です。

区分
法人税率(本則)
令和7年3月31日まで軽減税率
普通法人(中小法人以外・資本金1億円超)
23.2%
中小法人(資本金1億円以下)年800万円超
23.2%
中小法人(資本金1億円以下)年800万円以下
19%
15%
商工会・工業組合・協同組合等
19%
15%(年800万円以下)

試験のポイント

  • 青色申告制度:複式簿記の原則に従い会計帳簿に記入し、その帳簿に基づき税務申告する制度
  • 中小法人(法人税法):資本金1億円以下の法人(業種・従業員基準なし)
  • 軽減税率:中小法人の年所得800万円以下→19%(令和7年3月31日まで15%)、800万円超→23.2%
  • 商工会・工業組合・協同組合等:年所得800万円以下は15%(令和7年3月31日まで)
  • 少額減価償却資産の特例:取得価額30万円未満の減価償却資産を全額損金算入・合計300万円限度(令和8年3月31日まで)
  • 少額減価償却の対象:資本金1億円以下の法人または常時使用従業員500人以下の個人等
  • 欠損金の繰越控除:青色申告の中小法人(資本金1億円以下)→各事業年度開始前10年以内に開始した事業年度の欠損金を繰越控除
  • 中小企業向け賃上げ促進税制(R6.4〜R9.3):雇用者全体の給与等支給額を前年比1.5%以上増→増加額の15%を税額控除、教育訓練費10%以上増→さらに10%上乗せ
  • 先端設備等導入計画制度:市区町村の認定を受けた計画で取得した設備→固定資産税を3年間2分の1に軽減(令和7年3月31日まで)

まとめ

内容
項目
全国51か所・普通保証2億円・無担保8,000万円・特別小口2,000万円
信用保証協会
東京・名古屋・大阪・資本金3億円以下が対象
中小企業投資育成会社
年800万円以下→19%(R7.3.31まで15%)
中小法人の軽減税率
30万円未満→全額損金・合計300万円限度(R8.3.31まで)
少額減価償却の特例
給与1.5%以上増→増加額15%控除、教育訓練費10%増→さらに10%上乗せ
賃上げ促進税制

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