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物権の種類

物権

物権にはさまざまな種類があります。物を全面的に支配する所有権や、事実上の支配を保護する占有権のほか、他人の物を限定的に利用できる制限物権があります。制限物権はさらに用益物権と担保物権に分かれ、特に担保物権は企業の資金調達に深く関わります。

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所有権と占有権

簡単にいうと

簡単にいうと、所有権は『自分の物を自由に使い・収益し・処分できる最も強い権利』、占有権は『実際にその物を持っている(支配している)という事実を保護する権利』です。

❶ 所有権(民法第206~264条)

所有権とは、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益および処分をすることができる権利です。所有権の取得には、すでに成立している所有権を売買などにより他人から手に入れる承継取得と、新たに所有権が成立する原始取得があります。

❷ 占有権(民法第180~205条)

占有とは『自己のためにする意思をもって物を所持すること』です。ある物を所持することによって、その物から得る利益を自分が受けようという意思をもって、物に対する事実上の支配をすることです。占有権とは、所有権などの有無にかかわらず、占有(事実上の支配)をしている者に対して一定の権利を認めるものです。つまり『持っている』という事実を保護する権利です。

具体例

AさんがBさんから自転車を購入した場合、Aさんは所有権(自由に使える権利)を取得します。一方、Cさんが道で拾った自転車を持ち帰った場合、Cさんには所有権はありませんが占有権(事実上の支配の保護)は認められます。

試験のポイント

  • ・所有権は使用・収益・処分ができる最も強い権利であることを押さえましょう
  • ・承継取得と原始取得の違いを覚えましょう
  • ・占有権は所有権の有無にかかわらず認められる点が重要です
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担保物権

簡単にいうと

簡単にいうと、担保物権とは『お金を貸した人が確実に回収するために、借りた人の財産を担保として差し出させる仕組み』です。留置権・先取特権・質権・抵当権の4種類があります。

制限物権のうち、債権の担保を目的とするものを担保物権といいます。担保物権には法定担保物権と約定担保物権があります。

【法定担保物権】(法律上当然に発生)

❶ 留置権(民法第295~302条)

他人の物の占有者が、その物に関して生じた債権を有するときに、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置する(返さないでおく)ことができる権利です。たとえば自動車の修理を頼んだ人が修理代金を払わない場合、修理業者はその修理代金を払ってもらうまで自動車の引渡しを拒否できます。

❷ 先取特権(民法第303~341条)

法律の定める一定の債権を有する者(先取特権者)が、その債権者の財産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受けることができる権利です。たとえば企業Aが倒産した場合、従業員Bは未払い給料の債権について先取特権をもちます。

【約定担保物権】(当事者間の設定契約によって生じる)

❸ 質権(民法第342~366条)

債権者(質権者)が、その債権の担保として債務者または第三者から受け取った物を占有し、かつその物について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受けることができる権利です。たとえばAがBに100万円を貸す際にBの所有する自動車を担保とした場合、Bが期限までに100万円を返さなかったときは、Aはその自動車を売却して100万円を優先的に回収できます。

❹ 抵当権(民法第369~398条の22)

債務者(抵当権者)が、債務者または第三者が占有を移転しないで(=手元に保有したまま)債務の担保に供した不動産(原則)について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受けることができる権利です。お金を貸す際に債務者の所有する家を担保にとる場合などが典型例です。

質権と抵当権の最大の違いは、質権が目的物の占有の移転を必要とするのに対し、抵当権は占有の移転を必要としない点です。

物上保証と物上代位

物上保証とは、他人の債務のために自己の所有する財産を担保として提供すること。保証に類似しますがあくまで物的担保に含まれます。

物上代位とは、担保物権の目的物が売却、賃貸、滅失または損傷により形を変えたとき(代金請求権、賃料請求権、保険金請求権等に変化)に、その変化したものに対しても担保物権の効力が及ぶことです。

譲渡担保

債権の担保のために設定者が所有物を利用したまま、その所有権を債権者に移転し、債務を弁済した場合に所有権が設定者に戻る制度です。たとえば商売道具を担保にして営業資金の融資を受ける場合などに使われます。

具体例

中小企業のA社がB銀行から融資を受ける際、A社の社長の所有する家に抵当権を設定するケースは非常に多いです。A社が返済できなくなった場合、B銀行はその家を競売にかけて融資を回収できます。社長は家を手元に置いたまま(占有を移転しないで)使い続けられるのが抵当権の特徴です。

担保物権
法定/約定
占有の移転
対象
留置権
法定
占有を継続
動産・不動産
先取特権
法定
不要
動産・不動産
質権
約定
占有を移転
動産・権利
抵当権
約定
占有を移転しない
不動産(原則)

試験のポイント

  • ・質権と抵当権の違い(占有の移転の有無)は超頻出です
  • ・法定担保物権(留置権・先取特権)と約定担保物権(質権・抵当権)の区別は必須です
  • ・物上代位と譲渡担保の仕組みも押さえましょう
  • ・商法上の留置権は目的物以外の債権についても留置可能(民法より広い)

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