小規模企業対策(商工会・小規模企業共済・マル経融資・持続化補助金)
第6章 中小企業施策
小規模企業対策は、中小企業施策の中でも特に試験頻出の分野です。商工会(約1,600か所)と商工会議所(約500か所)による経営支援の違い、小規模企業共済(掛金1,000〜70,000円・全額所得控除)、マル経融資(上限2,000万円・無担保・無保証・低利)、小規模事業者持続化補助金(通常枠:上限50万円・補助率2/3)——それぞれの対象・要件・数字を正確に押さえましょう。特に小規模企業共済への「加入できない組合」とマル経融資の「6か月以上の経営指導」という条件は頻出の引っかけポイントです。
小規模事業者支援法(商工会・商工会議所による支援)
簡単にいうと
「商工会」と「商工会議所」——似て非なる2つの支援機関。設置エリアの違いと、「マル経融資の推薦権」という共通の役割を押さえよう。
小規模事業者支援法(商工会および商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律)は、商工会・商工会議所が小規模事業者の「経営の発達支援(経営改善普及事業)」を行うための法律です。
商工会は商工会法に基づき設立された認可法人で、主に市部以外(町村部)に設置されており、全国に約1,600か所あります。商工会議所は商工会議所法に基づき設立され、主に市(中心市街地)に設置されており、全国に約500か所です。
両者に共通する主な支援内容は「経営改善普及事業」で、①経営指導員による相談・経営指導 ②記帳指導(経理・財務の記帳支援)③マル経融資の推薦(融資要件を満たした事業者を日本政策金融公庫に推薦する権限)——の3つが柱です。「経営指導員」は小規模事業者のあらゆる経営上の問題に個別に対応する「ホームドクター」として機能します。
小規模事業者支援法は平成26年(2014年)改正により、商工会・商工会議所が「経営発達支援計画」を策定し国の認定を受けることで、小規模事業者の経営戦略への踏み込んだ「伴走型支援」が可能になりました。
試験のポイント
- ・商工会:商工会法に基づき各地域に設立された認可法人。市町村ごとに設置(主に市部以外)・全国に約1,600か所
- ・商工会議所:商工会議所法に基づき設立。商工会と違い、主に市(中心市街地)に設置・全国に約500か所
- ・経営改善普及事業:①経営指導員などによる相談・指導 ②記帳指導 ③マル経融資の推薦
- ・経営指導員(ホームドクター):小規模事業者のあらゆる経営上の問題に個別に対応する相談員
- ・記帳専任職員:従来から企業記帳を専門的に指導する記帳指導員が配置
小規模企業共済制度
簡単にいうと
個人事業主・小さな会社の社長が「自分の退職金」を積み立てる制度——掛金は全額所得控除!ただし「加入できる組合と加入できない組合」の区別に注意。
大企業の役員には退職金制度が整備されていますが、個人事業主や小規模企業の経営者は廃業・引退時に退職金が得られません。そこで設けられているのが小規模企業共済制度です。
小規模企業共済法に基づき中小企業基盤整備機構が運営するこの制度では、経営者が毎月掛金を積み立て、廃業・老齢・死亡時に共済金(退職金相当)として受け取れます。掛金月額は1,000〜70,000円(500円きざみ)で、最大の特徴は掛金全額が所得控除として認められることです(損金算入ではなく「所得控除」)。
加入対象:①常時使用する従業員が20人以下(商業・サービス業は5人以下・ただし宿泊業・娯楽業は20人以下)の個人事業主および共同経営者 ②事業に従事する組合員数が20人以下の企業組合の役員③常時使用する従業員が20人以下の協業組合の役員④常時使用する従業員が20人以下の農業を主として経営する農事組合法人の役員——が対象です。
重要な試験ポイントとして、事業協同組合の役員は加入できません(協業組合は加入できる、事業協同組合は加入できない)。また共済金は「廃業・老齢・死亡」時に受け取れ、一括・分割(10〜15年)・一括と分割の併用から選択できます。
試験のポイント
- ・加入対象:①常時使用する従業員が20人以下(商業・サービス業は5人以下、ただし宿泊業・娯楽業は20人以下)の個人事業主、共同経営者 ②事業に従事する組合員数が20人以下の企業組合の役員 ③常時使用する従業員が20人以下の協業組合の役員 ④常時使用する従業員が20人以下で農業を主として経営している農事組合法人の役員
- ・掛金月額:1,000円〜70,000円(500円きざみ)・半年払い・年払いも可
- ・共済金の受取り:廃業・老齢(65歳以上で15年以上加入)・死亡→「一括(一時金)」「分割(10〜15年)」「一括と分割の併用」から選択
- ・税法上の取扱い:掛金全額が「所得控除(全額所得控除)」として取り扱われる
- ・事業資金の貸付け:納付済み掛金総額の範囲内で事業資金を契約者貸付として無担保・無保証人で利用可能
- ・協業組合の役員は加入できる・事業協同組合の役員は加入できない
マル経融資(小規模事業者経営改善資金融資制度)と持続化補助金
簡単にいうと
「無担保・無保証人・低利」で最大2,000万円借りられるマル経融資——ただし商工会等の経営指導を「原則6か月以上」受けていることが条件。
マル経融資(小規模事業者経営改善資金融資制度)は、商工会・商工会議所の経営指導を受けている小規模事業者に対し、日本政策金融公庫(国民生活事業)が行う「無担保・無保証人・低利(基準金利より低い)」の融資制度です。
利用するには「商工会等の推薦」が必要で、推薦を受けるための主な要件は①商工会・商工会議所の経営指導を原則6か月以上受けていること②所得税・法人税等の税金を原則として完納していること③原則として同一の商工会・商工会議所の地区内で1年以上事業を行っていること——です。
融資限度額は2,000万円(1,500万円を超える場合は事業計画書作成が必要)。貸付期間は設備資金10年以内(うち据置2年以内)・運転資金7年以内(うち据置1年以内)。
小規模事業者持続化補助金は、商工会・商工会議所の支援を受けながら販路開拓等に取り組む小規模事業者を支援する補助金で、通常枠は補助上限50万円・補助率3分の2以内です。商工会・商工会議所の支援を受けていることが申請の要件となっており、マル経融資との連携活用が効果的です。
具体例
地方の個人経営の和菓子店が、地元の商工会に相談して販路開拓の経営指導を6か月間受けた後、マル経融資で設備資金を調達し、持続化補助金でECサイト開設費用を補助してもらう——という組み合わせ活用が、地域の小規模事業者にとっての典型的な支援の使い方です。
試験のポイント
- ・マル経融資の対象:常時使用従業員が20人以下(商業・サービス業は5人以下、ただし宿泊業・娯楽業は20人以下)の法人・個人事業主
- ・融資の要件(通常枠):①商工会・商工会議所の経営指導を原則6か月以上受けていること ②所得税・法人税・事業税・都道府県民税などを原則として完納していること ③原則として同一の商工会・商工会議所の地区内で1年以上事業を行っていること ④商工業者であり、かつ日本政策金融公庫の融資対象業種を営んでいること
- ・貸付内容(通常枠):設備資金および運転資金・貸付限度額2,000万円(1,500万円を超える場合は事業計画書作成・貸付後残高1,500万円以下になるまで経営指導員による実地訪問を半年ごとに1回以上受ける必要あり)
- ・貸付期間:設備資金10年以内(うち据置2年以内)・運転資金7年以内(うち据置1年以内)
- ・金利:低利(基準金利よりも低い)・日本政策金融公庫の審査が必要
- ・小規模事業者持続化補助金:商工会・商工会議所の支援を受けながら取り組む事業であることが要件。通常枠:補助上限50万円・補助率3分の2以内
まとめ
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