下請取引の適正化と労働対策
第6章 中小企業施策
大企業と中小企業の取引には力関係の非対称性があり、下請事業者が不当に低い価格や無理な条件を押しつけられるケースが生じてきました。これを是正するのが「下請代金支払遅延等防止法(下請法)」です。さらに令和6年11月には「フリーランス取引適正化法」が施行され、個人で働くフリーランスへの不当行為も規制されるようになりました。下請法の「4つの義務」「11の禁止行為」の枠組みと、フリーランス法・退職金共済の数字を押さえましょう。
下請代金支払遅延等防止法(下請法)の適用範囲・義務・禁止行為
簡単にいうと
「受領拒否」「買いたたき」「支払遅延」——親事業者が下請事業者に対してしてはいけない11の禁止行為と4つの義務を理解しよう。
下請法は、親事業者と下請事業者の取引において下請事業者の利益を保護し、不公正な取引を規制する法律です。「どの企業間の取引に適用されるか」は、委託者(親事業者)と受託者(下請事業者)の資本金の組み合わせによって決まります。
適用対象①(物の製造・修理委託および政令で定める情報成果物・役務提供委託):親事業者が資本金3億円超→下請が3億円以下、または親が1,000万円超3億円以下→下請が1,000万円以下。
適用対象②(情報成果物作成・役務提供委託のうちプログラム作成・運送・保管・情報処理を除くもの):親事業者が資本金5,000万円超→下請が5,000万円以下、または親が1,000万円超5,000万円以下→下請が1,000万円以下。
なお建設工事の請負は下請法の適用外(建設業法が適用されます)。
親事業者の4つの義務:①注文書を直ちに交付する②記録を2年間保存する ③受領日から60日以内に代金支払期日を定める④60日を過ぎた場合は年率14.6%の遅延利息を加算する。
11の禁止行為の代表例:受領拒否・代金支払遅延・代金減額・返品・買いたたき・物の購入強制・役務利用強制・不当な経済上の利益の提供要請・不当やり直し等。
試験のポイント
- ・適用対象①(物の製造・修理委託および政令で定める情報成果物作成・役務提供委託):親事業者=資本金3億円超→下請事業者=資本金3億円以下(個人含む)、または親=資本金1,000万円超3億円以下→下請=資本金1,000万円以下(個人含む)
- ・適用対象②(情報成果物作成・役務提供委託(プログラム作成・運送・保管・情報処理を除く)):親=資本金5,000万円超→下請=資本金5,000万円以下(個人含む)、または親=資本金1,000万円超5,000万円以下→下請=資本金1,000万円以下(個人含む)
- ・建設工事の請負は下請法の適用外(建設業法が適用)
- ・親事業者の4つの義務:①注文書を直ちに交付 ②記録を2年間保存 ③受領日から60日以内に代金支払期日を定める ④60日を過ぎた場合は年率14.6%の遅延利息を加算
- ・親事業者の禁止行為(11項目の代表例):受領拒否・代金支払遅延・代金減額・返品・買いたたき・物の購入強制・役務利用強制・不当な経済上の利益の提供要請・不当やり直し等
フリーランス取引適正化法と下請中小企業振興法
簡単にいうと
令和6年11月施行「フリーランス取引適正化法」——従業員を使わずに働くフリーランスを守る新しいルールと、振興基準の改正ポイントを押さえよう。
働き方の多様化を背景に、特定の企業に雇用されずに「業務委託」として働くフリーランスが増加しています。しかし発注者との力関係の差から、不当な報酬減額や支払遅延が発生するケースも少なくありませんでした。
フリーランス・事業者間取引適正化等法(フリーランス取引適正化法)は令和6年(2024年)11月1日に施行された法律で、フリーランス(特定受託事業者:従業員を使用せずに業務委託を受ける個人または法人代表者)と発注事業者(特定業務委託事業者:従業員を使用して業務委託をする事業者)の取引の適正化を図ります。
特定業務委託事業者の主な義務として、①業務内容等の書面(電磁的方法可)による明示②報酬の60日以内の支払い③7種類の禁止行為(受領拒否・報酬減額・返品・買いたたき・利用強制・不当な経済上の利益の提供要請・不当な給付内容の変更・やり直し等)——があります。
下請中小企業振興法の振興基準(令和4年7月改正)では、①価格交渉を年1回以上実施(毎年9月・3月が「価格交渉促進月間」)②コスト上昇分の十分な協議③支払いは60日以内・令和8年(2026年)に約束手形利用廃止へ④パートナーシップ構築宣言を定期的に見直す——が追加されました。
試験のポイント
- ・フリーランス取引適正化法の施行:令和6年(2024年)11月1日
- ・特定受託事業者(フリーランス):従業員を使用せず業務委託を受ける個人または法人の代表者
- ・特定業務委託事業者(発注者):従業員を使用して業務委託をする事業者
- ・特定業務委託事業者の義務:①給付内容等を書面(電磁的方法可)により明示 ②60日以内に報酬支払 ③7種類の禁止行為(受領拒否・報酬減額・返品・買いたたき・利用強制・不当な経済上の利益の提供要請・不当な給付内容の変更・やり直し等)
- ・下請中小企業振興法の振興基準(令和4年7月29日改正追加事項):①価格交渉を年1回以上実施(毎年9月・3月の「価格交渉促進月間」活用) ②コスト上昇分は十分協議して取引条件決定 ③支払方法は60日以内・令和8年(2026年)に約束手形利用廃止へ ④パートナーシップ構築宣言を定期的に見直す
- ・パートナーシップ構築宣言:令和2年5月18日に公表要領確定。代表者名で宣言し全国中小企業振興機関協会のポータルサイトに掲載
労働対策(退職金共済・労働力確保法・人材活用ガイドライン)
簡単にいうと
中小企業の従業員が安心して長く働けるための仕組み——退職金共済の掛金範囲・国の助成割合・税務上の扱いを数字で覚えよう。
中小企業では大企業と異なり、独自の退職金制度を整備することがコスト・事務負担の面から困難なケースが多くあります。そこで設けられているのが中小企業退職金共済制度(退職金共済)です。
退職金共済は独立行政法人勤労者退職金共済機構が運営する制度で、中小企業が毎月の掛金を機構に積み立て、従業員が退職する際に機構から直接退職金が支払われます。掛金は月額5,000〜30,000円(16種類)(短時間労働者は2,000〜4,000円)で、掛金は損金算入(法人)または必要経費(個人)として全額非課税扱いです。
国の助成として、新規加入の際は掛け金月額の2分の1(上限5,000円)を加入後4ヶ月目から1年間助成します。掛金増額時は増額分の3分の1を増額した月から1年間助成します。
また中小企業・小規模事業者人材活用ガイドライン(令和5年6月公表)は、経営者が3ステップで人材戦略を検討するための実践的ガイドです。
試験のポイント
- ・中小企業退職金共済制度(退職金共済):月額5,000〜30,000円(16種類・短時間労働者は2,000〜4,000円)
- ・国の助成(初回):掛け金月額の2分の1(上限5,000円)を従業員ごとに加入後4ヶ月目から1年間助成
- ・増額時の国の助成:増額分の3分の1を増額した月から1年間助成
- ・掛金は「損金算入(法人)」または「必要経費(個人)」として扱われ「非課税」
- ・中小企業・小規模事業者人材活用ガイドライン(令和5年6月公表):経営・人材戦略、労働市場における人材課題の解消のために策定。3ステップで人材戦略を検討する仕組み
まとめ
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