物価・為替・海外展開・BCP・産業立地
第2章 中小企業白書2024年版第1部 令和5年度(2023年度)の中小企業の動向
中小企業を取り巻く外部環境として、原材料・資源価格変動と為替変動による業績への影響、海外展開の動向、事業継続計画(BCP)の策定状況、産業立地の動向を整理します。
物価・為替変動の影響
簡単にいうと
原材料価格変動では「営業利益への悪化影響」が42.7%と最も多い。円安では売上高は横ばいが多い一方、営業利益への悪化影響が24.3%。価格転嫁がまだ十分にできていない実態がある。
物価・為替変動の企業業績への影響です。
① 原材料・資源価格変動による企業業績に対する影響の変化(前年度比)
2023年11〜12月時点の状況として、特に「営業利益」については、マイナスの影響を受けている中小企業が多い(悪化:42.7%)。また、原材料・資源の影響によって資金繰りが悪化している企業も一定数見られる(悪化:25.3%)。
② 為替変動による企業業績に対する影響の変化(前年度比)
2023年11〜12月時点の状況として、円安の進行による中小企業の業績への影響について、売上高は「横ばい」と回答する企業が約8割(78.7%)となっている一方、「営業利益」については「悪化」と答える企業が約2割強(24.3%)となっている。
円安進行や、輸入物価上昇に起因する原材料・資源価格の高騰が営業利益を圧迫している企業が比較的多いことを受け、中小企業・小規模事業者においては価格転嫁を促進するなどの対応が必要となっていることが示唆される。
試験のポイント
- ・原材料・資源価格変動で最も影響を受けるのは「営業利益」(悪化42.7%)
- ・為替変動(円安)による影響:売上高は「横ばい」が約8割、営業利益「悪化」が約24.3%
海外展開の動向
簡単にいうと
中小企業の直接輸出企業割合は21.0%、直接投資企業割合は14.2%(ともに増加傾向)。海外展開を長期で進めてきた企業ほど業績へのプラス影響が大きい!
中小企業の海外展開の動向です。
① 直接輸出・直接投資企業割合の推移(企業規模別)
直近2021年度の大企業の直接輸出企業割合は28.1%、直接投資企業割合は32.0%。中小企業の直接輸出企業割合は21.0%、直接投資企業割合は14.2%となっている。長期的に見ると、中小企業の直接輸出企業割合・直接投資企業割合ともに増加傾向にある。
② 企業業績への影響(海外展開の取組開始時期別)
海外展開を長期で進めてきた企業(2019年以前に開始)は2020年以降に開始した企業と比べて、売上高や収益へのプラス影響が強い傾向にある。
海外展開で業績を上げるためには、中長期的に取組を進めていくことが必要であることが示唆される。
試験のポイント
- ・中小企業の直接輸出企業割合:21.0%(大企業28.1%)・増加傾向
- ・中小企業の直接投資企業割合:14.2%(大企業32.0%)・増加傾向
- ・海外展開は長期で取り組むほど業績へのプラス影響が大きい
事業継続計画(BCP)の策定状況
簡単にいうと
自然災害が絶えない日本でBCPの重要性は増すばかり。中小企業のBCP策定率は2023年で15.3%(大企業35.5%)と上昇傾向。BCP策定の効果1位は「従業員のリスクに対する意識が向上した」!
事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)の策定状況です。
① BCP策定率の推移
企業規模を問わず上昇傾向で推移している。2023年の大企業のBCP策定率は35.5%であるのに対して、中小企業は15.3%となっている(中小企業の策定率は依然として低い水準)。
② 事業中断リスクに備えた実施・検討内容(上位10項目)
「従業員の安否確認手段の整備」が65.1%で最多。次いで「情報システムのバックアップ」(54.1%)、「緊急時の指揮・命令系統の構築」(38.4%)。
③ BCPを策定したことによる効果(上位5項目)
中小企業・大企業を問わず、「従業員のリスクに対する意識が向上した」が最多(中小企業51.6%、大企業58.4%)。
次いで「事業の優先業務の明確化」「業務の定型化・マニュアル化が進んだ」など。
試験のポイント
- ・中小企業のBCP策定率:2023年15.3%(大企業35.5%)・上昇傾向
- ・事業中断リスク対策1位:「従業員の安否確認手段の整備」65.1%
- ・BCP策定の効果1位(中小・大企業ともに):「従業員のリスクに対する意識が向上した」
産業立地の動向
簡単にいうと
工場の事業所敷地面積は2011年以降緩やかに増加。立地計画を持つ割合は製造業・物流業ともに大きく伸びている。立地選定理由の1位は「本社・ほかの自社工場への近接性」。
産業立地の状況です。
① 工場の事業所敷地面積の推移
2011年以降、工場の新規立地が進展したことを受け、事業所敷地面積は緩やかに増加している(2022年は14.76万ha)。
② 国内事業拠点に関する立地計画を持つ事業者の割合
立地計画(新設・増設・移転)を持つ事業者の割合は年々増加傾向にあり、特に直近3年を見ると製造業・物流業ともに大きく伸びている(物流業32.6%、製造業23.1%)。
③ 立地選定理由
「本社・ほかの自社工場への近接性」が最も重視されており(最も重視した:1,485件)、次いで「インフラの整備が充実している」(1,527件)、「地価」(1,181件)など。
④ 半導体製造企業の新規立地による効果(業種別)
製造業においては「自社従業員の賃金上昇」が18.4%で最多。製造業以外においては「住民増加による消費増大」(14.5%)が最多。
試験のポイント
- ・工場の事業所敷地面積:2011年以降緩やかに増加(2022年14.76万ha)
- ・立地計画保有割合:製造業・物流業ともに大きく伸びている(物流業32.6%・製造業23.1%)
- ・立地選定理由1位:「本社・ほかの自社工場への近接性」
- ・半導体製造企業の新規立地効果(製造業):「自社従業員の賃金上昇」が最多
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