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需要予測

第2章 生産の管理

需要予測は、生産計画や在庫管理の出発点となる重要な活動です。将来の需要を適切に見通すことで、過剰生産による在庫の積み上がりや、過少生産による機会損失を防ぐことができます。需要予測の手法は大きく定性的方法(専門家の判断やアンケートなど)と定量的方法(過去のデータに基づく統計的手法)に分けられます。

見込生産を行う企業にとって、需要予測は生産量を決定する上で不可欠な技術です。予測が外れると在庫コストや機会損失が発生します。ここでは移動平均法、指数平滑法、回帰分析、線形計画法について学びます。

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移動平均法

簡単にいうと

簡単にいうと、過去の売上データの平均値を計算して、次の期間の予測値とする方法です。「単純に平均を取る方法」と「新しいデータに重みをつける方法」の2種類があります。

移動平均法は、過去の任意の個数の観測値の平均を需要予測に用いる方法です。

単純移動平均法は、過去の実績データの単純平均を予測値とします。例えば直近4か月のデータを使う場合、4つのデータの算術平均が予測値になります。

加重移動平均法は、実績データに異なる「重み(ウエイト)」をつけて予測値を求めます。直近のデータに大きな重みを付けることで、最近の傾向をより反映した予測が可能です。重みの合計は1になるようにします。

具体例

直近4か月の売上が1,000・1,200・1,400・1,000(万円)の場合、単純移動平均法では来月の予測値=(1,000+1,200+1,400+1,000)÷4=1,150万円です。加重移動平均法で重み(0.4, 0.3, 0.2, 0.1)を使うと、予測値=1,000×0.4+1,200×0.3+1,400×0.2+1,000×0.1=1,140万円となります。

試験のポイント

  • 単純移動平均法と加重移動平均法の違い(重みの有無)を理解しましょう
  • 計算問題として出題されることが多いです
  • 加重移動平均法では重みの合計が1になる点に注意です
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指数平滑法

簡単にいうと

簡単にいうと、「前回の予測値」と「今回の実績値のズレ」を使って次の予測値を計算する方法です。平滑化定数αで予測の敏感さを調整できます。

指数平滑法は、観測値が古くなるにつれて指数的に重みを減少させる重みづけ移動平均法です。平滑化定数α(0<α<1)によって重みの減少の程度が決定されます。

次期の予測値=当期の予測値+α×(当期の実績値当期の予測値)次期の予測値 = 当期の予測値 + \alpha \times(当期の実績値 - 当期の予測値)

これは次のように変形できます。

次期の予測値=α×当期の実績値+1α×当期の予測値次期の予測値 = \alpha \times 当期の実績値 +(1 - \alpha)\times 当期の予測値

αが大きい(1に近い)場合は直近の実績を重視するため、需要変動が大きい場合に適します。αが小さい場合は予測値の変動を抑えるため、安定した需要に適します。

具体例

今月の売上予測が1,150万円、実績が1,200万円の場合、α=0.9なら来月予測=1,150+0.9×(1,200−1,150)=1,195万円(実績に近い値)。α=0.1なら来月予測=1,150+0.1×(1,200−1,150)=1,155万円(予測値に近い値)。αが大きいほど実績の変化に敏感に反応します。

試験のポイント

  • 指数平滑法の計算公式は必ず覚えましょう。計算問題として頻出です
  • αが大きい→需要変動が大きい場合に適する、αが小さい→安定需要に適する関係を理解しましょう
  • 「当期の予測値と実績値の差にαを掛ける」という直感的な理解が大切です
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回帰分析と線形計画法

簡単にいうと

簡単にいうと、回帰分析は「原因と結果の関係を数式にする」方法、線形計画法は「制約の中で利益を最大にする生産量を求める」方法です。

回帰分析は、目的変数(結果)説明変数(原因)の関係を表す回帰方程式を求める手法です。説明変数が1つの場合を単回帰分析、複数の場合を重回帰分析と呼びます。

例えば宣伝費(説明変数x)と売上高(目的変数y)の関係をy=ax+by = ax + bの式で表すのが単回帰分析です。

線形計画法(LP:Linear Programming)は、目的関数と制約条件をすべて1次式で表し、制約条件を満たしながら目的関数を最大化(または最小化)する解を求める方法です。

線形計画法の重要な性質は以下の3点です。

1. 解の領域(実行可能領域)は必ず凸型多角形になる

2. 求める解は必ずその多角形の頂点のどれかにある

3. 目的関数の値は解の領域内で必ずある方向に向かって大きくなる

線形計画法の3つの重要な性質

線形計画法(LP: Linear Programming)の実行可能領域と最適解には、以下の特徴があります。

1. 実行可能領域は必ず凸型の多角形になる — 制約条件がすべて一次不等式であるため、それらの共通部分は凸多角形を形成します

2. 最適解は必ず多角形のいずれかの頂点に存在する — 目的関数が線形であるため、領域内部よりも頂点で最大(または最小)になります

3. 目的関数の値は領域内で一定方向に増加する — 等利益線(目的関数が同じ値をとる直線)は平行に並び、ある方向へ移動すると値が大きくなります

図解法(グラフによる解法)の手順

変数が2つの場合、以下の手順でグラフを使って解くことができます。

1. 各制約条件を一次不等式として整理し、それぞれをグラフ上に直線として描く

2. すべての制約条件を同時に満たす領域(実行可能領域)を特定する

3. 実行可能領域の各頂点の座標を求める

4. 各頂点で目的関数の値を計算し、最大(または最小)となる頂点が最適解

具体例

2種類の製品A(利益4万円)とB(利益6万円)を生産する場合、設備1の工数制約(2A+4B≦20)と設備2の工数制約(4A+2B≦28)のもとで利益を最大化する問題では、実行可能領域の頂点を調べ、A=6個・B=2個(利益36万円)が最適解となります。

試験のポイント

  • 回帰分析では目的変数(結果)と説明変数(原因)の区別が重要です
  • 線形計画法は「解は凸型多角形の頂点にある」という性質を理解しましょう
  • 線形計画法の計算問題では、各頂点の座標を求めて利益を比較する方法が定番です

まとめ

テーマ
ポイント
注意点
移動平均法
過去データの平均で予測します(単純/加重の2種類)
加重移動平均法の重みの合計=1です
指数平滑法
予測値と実績値の差にαを掛けて補正します
αが大きい→変動大の場合に適します
回帰分析
原因と結果の関係を数式化します
目的変数と説明変数の区別が重要です
線形計画法
制約条件下で目的関数を最大化します
解は凸型多角形の頂点にあります

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