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方法研究

第3章 作業の管理

方法研究は、IE(Industrial Engineering:経営工学)の2本柱のうちのひとつで、作業や製造方法を分析し、最善の作業方法を設定するための手法体系です。工程分析(工程系)と動作研究(作業系)に大別されます。ここでは工程図記号、製品工程分析、運搬分析、動作経済の原則、サーブリック分析、連合作業分析などを学びます。

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IEの体系と工程図記号

簡単にいうと

簡単にいうと、IEは「仕事のやり方を科学的に分析して改善する技術」です。工場の生産活動を分析するために、加工・運搬・検査・貯蔵・滞留を表す専用の図記号を使います。

IE(Industrial Engineering)は、テイラーの時間研究とギルブレスの動作研究を統合して体系化された改善技術です。IEの中核は作業研究であり、方法研究作業測定の2つで構成されます(JIS Z 8141-5102)。

方法研究はさらに工程分析(工程系)動作研究(作業系)に分かれます。

工程分析で使用する工程図記号は以下の6種類です。

記号要素工程意味
加工形状・品質等に変化を与える過程
運搬位置に変化を与える過程
数量検査量や個数を測る過程
品質検査品質特性を試験・判定する過程
貯蔵計画的に貯えている過程
D滞留計画に反して滞っている状態

重要なポイントとして、付加価値を生むのは「加工」だけです。その他はすべて付加価値を生まない活動であり、改善の対象となります。

2つの要素工程を同時に行う場合は複合記号(主となる記号の内側に従の記号を書く)で表します。

具体例

ある製品の工程を分析すると「加工○→運搬→→加工○→品質検査◇→貯蔵▽→運搬→→滞留D」となった場合、停滞(付加価値を生まない状態)は貯蔵1か所+滞留1か所の計2か所です。加工以外の工程を減らすことが改善の方向性になります。

試験のポイント

  • 6つの工程図記号(加工○・運搬→・数量検査□・品質検査◇・貯蔵▽・滞留D)を覚えましょう
  • 付加価値を生むのは「加工」だけという点は頻出です
  • 貯蔵(計画的)と滞留(計画外)の違いを正確に区別しましょう
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製品工程分析と作業者工程分析

簡単にいうと

簡単にいうと、製品工程分析は「製品がどのような工程を経て完成するか」を図にする方法、作業者工程分析は「作業者がどう動いているか」を図にする方法です。

製品工程分析(プロセスチャート)は、原材料や部品が製品化される過程を工程図記号で表して分析する手法です(JIS Z 8141-5202)。材料が加工されながら完成品に変わる流れを、加工・運搬・検査・停滞の記号で記述した製品工程分析図を作成します。

作業者工程分析は、作業者を中心に作業活動を工程図記号で表して分析する手法です(JIS Z 8141-5203)。加工→作業、運搬→移動、停滞→手待ちと読み替えて使用します。作業台のレイアウトや作業手順の改善に活用されます。

流れ線図(フローダイアグラム)は、設備や建屋の配置図に工程図記号を記入し、対象物や人の動きを線で結んだ図です。物や人の流れ、逆行した流れ、無用な移動などを視覚的に把握できます。

具体例

金属加工工場で製品工程分析を行うと、フライス盤での加工(○)→台車での運搬(→)→旋盤での加工(○)→品質検査(◇)→倉庫での貯蔵(▽)という流れが見えます。流れ線図で描くと、フライス盤と旋盤が離れた場所にあり無駄な運搬が発生していることが分かり、レイアウト改善の根拠になります。

試験のポイント

  • 製品工程分析は「製品の流れ」、作業者工程分析は「作業者の動き」を分析する違いを押さえましょう
  • 流れ線図は配置図上の動きの可視化ツールです
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運搬分析

簡単にいうと

簡単にいうと、運搬分析は「モノの運び方のムダ」を見つけて改善する分析です。運搬活性分析(モノの動かしやすさ)と空運搬分析(手ぶらで移動するムダ)が代表的です。

運搬分析には以下の手法があります。

運搬活性分析は、品物の「活性(移動のしやすさ)」を活性示数(0~4の5段階)で評価する方法です。

活性示数状態省かれた手間
0床にバラ置きなし
1容器・束にまとめたまとめる
2パレット・スキッドに載せたまとめる+起こす
3車に載せたまとめる+起こす+持ち上げる
4コンベヤ・シュートに載せたすべて省略

平均活性示数=停滞状態にある活性示数の合計停滞状態の数平均活性示数 = \frac{停滞状態にある活性示数の合計}{停滞状態の数}

値が小さいほど品物の置き方が悪く、移動に多くの手間を要します。

空運搬分析は、品物の移動を伴わない人や運搬機器だけの移動(空運搬)を分析します。

空運搬係数=人の移動距離品物の移動距離品物の移動距離空運搬係数 = \frac{人の移動距離 - 品物の移動距離}{品物の移動距離}

マテハン(マテリアルハンドリング)の原則として、活荷物の原則(活性の維持向上)、直線化の原則(逆行・屈曲の回避)、スペース活用の原則、つぎ目の原則(移動の終点と始点をスムーズに接続)、自重軽減の原則(運搬具の自重削減)があります。

運搬分析の基本記号と台記号

運搬工程を詳細に記述するために、基本記号台記号が用いられます。

基本記号4種:

記号要素意味
□→移動品物が場所を変える過程
取扱い積込み・積下ろしなどの荷役作業
加工品物の形状や性質を変える過程
停滞品物が動かずに留まっている状態

台記号5種(運搬具・置き方を示す):

台記号名称意味
床バラ置き床面に直接バラバラに置く
コンテナ容器・箱にまとめて収納
パレットパレットに載せて管理
台車台車やカートに載せて移動
ベルトコンベヤコンベヤで連続的に搬送

具体例

工場で平均活性示数を計算したところ0.8と低い値でした。床へのバラ置き(活性示数0)が多いことが原因で、パレット化(活性示数2)を導入することで平均活性示数が2.3に改善し、運搬作業時間が40%短縮されました。

試験のポイント

  • 活性示数の5段階(0:バラ置き~4:コンベヤ)は必ず覚えましょう
  • 平均活性示数と空運搬係数の計算公式を押さえましょう
  • マテハンの原則は名称と内容を理解しましょう
  • 運搬分析の基本記号4種(移動/取扱い/加工/停滞)と台記号5種(平/箱/枚/車/ベルト)も出題されることがあります
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動作研究と動作経済の原則

簡単にいうと

簡単にいうと、動作研究は「作業者の体の動きを細かく分析して最も効率の良い動き方を見つける」方法です。動作経済の原則は「最小限の疲労で最大の効果を出す動作の法則」です。

動作研究は、作業者が行う作業を構成する動作を分析し、最善の作業方法を求めるための手法体系です(JIS Z 8141-5206)。作業方法や動作法の問題点を見抜く意識のことをモーションマインドといいます。

動作経済の原則は、作業者が最も合理的に作業を行うための経験則です(JIS Z 8141-5207)。この原則に反した動作は疲労を伴い非能率です。

動作経済の原則は4つの基本原則と3つの分類から構成されます。

4つの基本原則:

(I) 動作の数を減らす:不必要な動作の排除、動作の組み合わせ

(II) 動作を同時に行う:両手は同時に動かし始め同時に終える、反対・対称方向に動かす

(III) 動作の距離を短くする:最適な身体部位で行う、最短距離で行う

(IV) 動作を楽にする:重力や慣性力を利用する、円滑な動作方向

3つの分類:

1. 動作方法の原則(身体の使い方)

2. 作業場所の原則(材料・工具の配置)

3. 治工具および機械の原則(道具の設計)

作業空間には、上腕を体に近づけた状態で前腕を動かした範囲(正常作業域)と、肩を固定して手を伸ばした範囲(最大作業域)があります。工具や材料はできるだけ正常作業域内に置くのが望ましいです。

具体例

部品の組立作業を分析したところ、右手で部品を持ちながら左手が遊んでいる「片手作業」が多発していました。動作経済の原則に従い、両手で同時に部品を取り組み立てる方法に改善したところ、作業時間が25%短縮されました。

試験のポイント

  • 動作経済の原則の4つの基本原則(数を減らす・同時に・距離を短く・楽に)を覚えましょう
  • 「両手は同時に動かし始め同時に終える」は頻出の原則です
  • 正常作業域と最大作業域の違いを理解しましょう
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サーブリック分析と連合作業分析

簡単にいうと

簡単にいうと、サーブリック分析は「作業者の動きを18種類の最小単位(動素)に分解して分析する」方法、連合作業分析は「人と機械、または複数の人が一緒に作業するときの効率を分析する」方法です。

サーブリック分析(微動作分析)は、ギルブレスが考案した方法で、あらゆる作業に共通する基本動作を18種類の動素(サーブリック)に分類して分析します。動素は3つに分類されます。

第1類(仕事に必要な要素):手を伸ばす・つかむ・運ぶ・組み合わす・分解する・使う・放す・調べる・位置決めの9つ。このうち価値を生む動素は「組み合わす」「分解する」「使う」の3つだけです。

第2類(第1類を妨げる要素):探す・見出す・選ぶ・考える・前置きの5つ。治工具の置き方や材料の配置に問題がある場合に発生します。

第3類(作業を行わない要素):保持・休む・避けられない遅れ・避けられる遅れの4つ。まず排除を検討すべき要素です。

連合作業分析は、人と機械、または複数の人が協同して作業を行うときの効率を高める分析手法です(JIS Z 8141-5212)。マンマシンチャート(人-機械分析図)を使い、人と機械の稼働状態を時間軸上で並列表示します。人の手待ちや機械の停止ロスを明確にし、ECRSの原則を適用して改善を図ります。

具体例

旋盤作業のマンマシンチャートを作成したところ、作業者の手待ち時間が全体の36%を占めていました。機械の自動運転中に別の作業(面取りや寸法測定)を並行して行うよう改善し、手待ち時間を15%に削減しました。

分類
内容
改善方針
第1類
仕事に必要な9動素(うち価値を生むのは3つ)
価値を生まない動素を短縮・効率化
第2類
第1類を妨げる5動素(探す・選ぶ等)
治工具や材料の配置改善で排除
第3類
作業しない4動素(保持・休む等)
優先的に排除を検討

試験のポイント

  • サーブリックの3分類(第1類:必要・第2類:妨げ・第3類:非作業)を理解しましょう
  • 価値を生む動素は「組み合わす・分解する・使う」の3つだけという点は頻出です
  • 連合作業分析のマンマシンチャートで手待ち・停止ロスを可視化する点を押さえましょう
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両手動作分析

簡単にいうと

簡単にいうと、両手動作分析は「左手と右手の動きを並べて記録し、片手だけで作業していたり手が遊んでいたりするムダを見つける」分析手法です。

両手動作分析は、作業における左右の手の動きを同時に並列表示して記録・分析する手法です。作業者の両手が効率よく使われているかを確認し、片手作業手待ちのムダを発見して改善につなげます。

記録には以下の工程図記号を使います。

記号意味説明
作業対象物に変化を加える動作
移動手を伸ばす・運ぶなどの移動動作
D保持対象物を持ったまま待っている状態
手待ち何もしていない遊び状態

左右の手の動きを時間軸に沿って並列記録することで、一方の手が「保持(D)」や「手待ち(△)」になっている箇所を特定し、動作経済の原則に基づいて両手同時作業への改善を図ります。

具体例

ボルト締め付け作業を両手動作分析したところ、左手が部品を「保持(D)」している間に右手だけでレンチ操作をしていました。治具を導入して部品を固定し、左手も別の部品準備を並行して行う方法に変更した結果、サイクルタイムが30%短縮されました。

試験のポイント

  • 両手動作分析の記号4種類(作業○/移動→/保持D/手待ち△)を覚えましょう
  • 片手作業や手待ちのムダを発見するための分析手法であることを押さえましょう
  • 動作経済の原則の「両手は同時に動かし始め同時に終える」との関連を理解しましょう
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作業の区分(6段階の分析レベル)

簡単にいうと

簡単にいうと、作業の分析にはズームレベルがあり、最も細かい「動素」から最も大きい「製品全体」まで6段階に分けて考えます。どの粒度で分析するかを選ぶ基準として重要です。

作業を分析する際、対象の細かさ(粒度)に応じて6段階の区分があります。最小単位から最大単位へ順に並べると以下のとおりです。

レベル名称説明
1動素(サーブリック)作業の最小単位。18種類に分類される
2動作複数の動素が組み合わさったひとまとまりの動き
3要素作業作業を分割したときの最小の作業単位
4単位作業1つの作業目的を達成する一連の要素作業のまとまり
5工程複数の単位作業から構成される生産段階
6製品(半完成品)工程を経て完成した成果物

分析の目的に応じて適切な粒度を選択します。微細な改善には動素レベル、全体の流れの改善には工程レベルの分析が適しています。

具体例

ストップウォッチ法で標準時間を設定する場合は「要素作業」レベルに分解して測定します。一方、工程全体のボトルネックを見つけたい場合は「工程」レベルで分析します。サーブリック分析を行う場合は最も細かい「動素」レベルまで分解します。

試験のポイント

  • 6段階の順序(動素→動作→要素作業→単位作業→工程→製品)を正確に覚えましょう
  • 動素が最小単位でありサーブリックと同義である点を押さえましょう
  • 分析手法と対応する粒度の関係を理解しましょう(サーブリック分析→動素、ストップウォッチ法→要素作業)

まとめ

テーマ
ポイント
注意点
工程図記号
6種類の記号で工程を可視化します
付加価値を生むのは「加工○」だけです
工程分析
製品工程分析と作業者工程分析の2種類です
流れ線図で動きを配置図上に可視化します
運搬分析
活性示数(0~4)と空運搬係数で評価します
平均活性示数が低いほど改善が必要です
動作経済の原則
4原則×3分類で最適な動作を追求します
両手同時動作の原則が頻出です
サーブリック
18動素を3分類、価値を生むのは3動素だけです
第2類・第3類は排除対象です
連合作業分析
マンマシンチャートで手待ち・停止を可視化します
ECRSの原則を適用して改善します
両手動作分析
左右の手の動きを並列記録して片手作業・手待ちを発見します
記号4種(作業○/移動→/保持D/手待ち△)を覚えましょう
作業の区分
動素→動作→要素作業→単位作業→工程→製品の6段階です
分析手法ごとに対応する粒度が異なります

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