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組織均衡と組織の存続

組織構造論

組織が存続するためには、構成員に与える「誘因」が求められる「貢献」を上回る必要があります。バーナード=サイモンの組織均衡論を学びます。

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組織均衡と組織の存続

簡単にいうと

会社がつぶれずにやっていくためには、そこに関わる全員が「出すもの(貢献)よりもらえるもの(誘因)のほうが多い」と感じていることが必要です。これがバーナードとサイモンの組織均衡論です。

組織が成立し存続し続けるには、均衡状態を保つことが不可欠です。バーナード(C.I.Barnard)やサイモン(H.A.Simon)が提唱した組織均衡論では、均衡とは「組織がすべての参加者に対し、参加を動機づけるのに十分な誘因を提供し続けることに成功している状態」を指します。つまり、組織が生存に必要な経営資源を継続的に獲得・活用できている状態のことです。

経営組織の参加者は、従業員だけでなく、資本家(株主)、供給業者、顧客など多様な主体を含むオープンシステムです。組織はこれらすべての参加者に対して、それぞれの貢献に見合った誘因を提供し、均衡を維持しなければなりません。

具体例

たとえば従業員にとっての誘因は給与・昇進機会・良好な職場環境などであり、貢献とは労働力の提供です。資本家にとっての誘因は配当であり、貢献は資本の提供です。顧客にとっての誘因は財・サービスであり、貢献は代価の支払いです。供給業者にとっての誘因は賃金等の報酬であり、貢献は原材料・設備等の提供です。このように、各参加者が「もらえるもの(誘因)」が「差し出すもの(貢献)」を上回ると感じる限り、その人は組織に参加し続けます。

組織均衡の仕組みを示す図。中心に組織があり、周囲に従業員・顧客・株主・供給業者が配置され、組織から各参加者へ誘因(インセンティブ)が流れ、各参加者から組織へ貢献が流れている。

組織均衡の仕組み

試験のポイント

  • 組織均衡の核心は「誘因≧貢献」という条件です
  • 参加者は従業員だけでなく、株主・顧客・供給業者なども含まれる点を押さえましょう
  • 均衡は「満足化基準」で判断される点にも注意が必要です
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組織均衡の5つの命題

簡単にいうと

組織均衡論には5つの基本命題があります。要は「もらえるもの≧出すもの」なら人は組織に残り、みんなの「出すもの」が組織の「配れるもの」の元手になる、というサイクルを5段階で説明したものです。

バーナード=サイモンの理論では、組織均衡に関する5つの基本命題が示されています。

命題内容
命題①組織は参加者の相互作用によって成り立つ体系である
命題②各参加者は組織から誘因(インセンティブ)を受け取り、その対価として組織に貢献を行う
命題③各参加者は、提供される誘因が自分の貢献と同等以上(誘因≧貢献)であると判断する限り、組織への参加を継続する
命題④各参加者グループが提供する貢献こそが、組織が他の参加者へ提供する誘因の源泉となる
命題⑤参加者の貢献から十分な誘因を生み出せている(誘因≧貢献)場合にのみ、組織は「支払い能力」を有し、存続し続けることができる(組織の均衡条件

命題④が特に重要で、組織は参加者の貢献をインプットとし、それを誘因(アウトプット)へ変換するシステムとして理解できます。この変換がうまくいくかどうかが組織の存続を左右します。

具体例

ある企業で従業員の給与を引き下げた場合を考えてみましょう。命題③により、誘因が貢献を下回ると感じた従業員は離職します。命題④により、残った従業員の貢献が減少すれば、それが誘因の源泉であるため、他の参加者への誘因もさらに減少します。命題⑤により、この悪循環が続けば組織は支払い能力を失い、最終的に崩壊します。逆に、適切な誘因を維持できれば均衡が保たれ、組織は存続し続けます。

試験のポイント

  • 5つの命題は順番と内容をセットで覚えましょう
  • 特に命題④「貢献が誘因の源泉となる」という循環構造と、命題⑤「誘因≧貢献が均衡条件」という結論が頻出です
  • 試験では命題の内容を入れ替えた選択肢が出るため、各命題の対応関係を正確に把握することが重要です
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有効性と能率の区別

簡単にいうと

有効性は「組織の目標を達成できたか」、能率は「メンバーに十分な見返りを渡せているか」という意味です。バーナードの言う「能率」は普通の効率とは違う独特な概念なので、ここをしっかり区別しましょう。

バーナードは、組織の成果を評価する軸として有効性(effectiveness)と能率(efficiency)という2つの概念を明確に区別しました。

概念定義評価の視点
有効性(effectiveness)組織目標の達成度合い「目標を達成できたか?」という組織全体の視点
能率(efficiency)参加者の貢献(インプット)から誘因(アウトプット)への変換効率「参加者の個人的動機を満足させられているか?」という参加者個人の視点

ここで注意すべきは、バーナードの「能率」は一般的な意味での効率性(コスト削減など)とは異なる独自の概念だという点です。バーナードの能率とは、組織が参加者の貢献をいかに効果的に誘因へ変換できているかを示す指標です。

組織が存続するためには、有効性と能率の両方が求められます。有効性が低ければ組織目標を達成できず、能率が低ければ参加者への誘因が不足して均衡が崩れ、参加者が離脱してしまいます。なお、組織は外部環境の変化に継続的に適応し組織目標を達成しなくてはなりませんが、目標を達成できなくても(有効性が低くても)能率が維持されていれば存続できる場合もあります。

具体例

たとえば、ある工場が「月産1万台」という目標を掲げ、実際に1万台を生産できた場合、有効性は高いといえます。一方、その生産過程で従業員に十分な給与を払い、株主に適切な配当を行い、供給業者にも公正な対価を支払えているなら、能率も高いといえます。しかし、月産1万台を達成しても、その過程で従業員が過重労働で次々と離職してしまうなら、有効性は高くても能率は低い状態です。

試験のポイント

  • 有効性=組織目標の達成度、能率=貢献から誘因への変換率、という定義の違いを正確に覚えましょう
  • バーナードの「能率」は日常語の「効率」とは意味が異なるため、試験で引っかけに使われやすいポイントです
  • また、組織の存続には有効性と能率の両方が必要である点も重要です

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