関係性マーケティング
関係性マーケティングとデジタルマーケティング
1990年代以降、従来の4Pマーケティングの限界が認識され、企業と顧客の双方向的な関係構築を重視するマーケティングへとパラダイムシフトが進みました。本セクションでは、リレーションシップマーケティングの基本思想から、ダイレクトマーケティング、CRM(顧客関係管理)の具体的手法や分析指標まで、関係性マーケティングの全体像を体系的に学びます。
リレーションシップマーケティング
簡単にいうと
新規のお客さんを追いかけるより、今いるお客さんとの関係を大事にしようという考え方だよ。長く付き合うほどお互いにメリットが生まれるんだ。
リレーションシップマーケティング(関係性マーケティング)とは、企業と外部のステークホルダー(顧客、取引先、投資家、社会など)との関係性そのものに着目するマーケティング概念である。双方向のインタラクション(相互作用)を基盤として関係性を構築・維持することに価値を置き、継続的な取引関係の確立を目指す。短期的な売買を超えて、長期にわたる相互利益と成長の実現を志向する点が大きな特徴である。この考え方が重視されるようになった背景には4つの要因がある。第一に、80対20の法則(売上の80%を上位20%の顧客が生み出す傾向)により、既存の優良顧客の維持が経営上の重要課題と認識されたこと。第二に、製品ライフサイクルの短縮化により、顧客を自社製品に継続的につなぎとめる施策の必要性が高まったこと。第三に、製品の高度化・複雑化に伴いメンテナンスやアフターサービスの重要度が増し、購入後も顧客との継続的な接点を持つことが不可欠になったこと。第四に、サービスマーケティングの領域拡大が、顧客との関係性(リレーションシップ)の重要性に対する認識を広げたことである。
試験のポイント
- ・80対20の法則をはじめとする4つの背景要因は頻出論点である
- ・特に「既存顧客の維持」が新規顧客獲得よりも重要とされる理由を、各背景と結びつけて説明できるようにしておくこと
- ・また、インタラクション(双方向の相互作用)という概念が従来の4Pマーケティングとの違いを示すキーワードである点も押さえたい
ダイレクトマーケティング
簡単にいうと
卸売業者や小売店を通さず、企業が消費者に直接アプローチする販売手法のことだよ。ネット通販やテレビショッピングが代表的な例だね。
ダイレクトマーケティングとは、メーカーや販売者が中間の流通業者(卸売業者・小売業者など)を経由せずに、消費者と直接コミュニケーションを取り、販売活動を行う手法の総称である。従来は直接販売や訪問販売が中心であったが、現在では通信販売、インターネットマーケティング、テレマーケティング、テレビショッピングといった無店舗販売形態を幅広く含む概念へと拡大している。近年の情報通信技術の進展により、個々の消費者を対象とした双方向のマーケティング活動が容易になり、売り手と買い手の間で直接的なやり取りが可能なシステムとして、従来以上に広い範囲で活用されるようになっている。
試験のポイント
- ・ダイレクトマーケティングの定義における核心は「中間流通業者を介さない」という点である
- ・具体例として通信販売、インターネットマーケティング、テレマーケティング、テレビショッピングなどの無店舗販売が挙げられる点を整理しておくこと
- ・また、情報通信技術の発達により双方向コミュニケーションが可能になった点も重要である
CRMの基本概念
簡単にいうと
お客さん一人ひとりのデータを分析して、それぞれに合ったサービスを提供する仕組みのことだよ。お客さんをグループ分けする方法と、個別に対応する方法の2つがあるんだ。
CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)とは、個々の顧客のロイヤルティを長期的に高め、企業の収益改善を実現するために、顧客の過去の行動データを分析したうえで、ロイヤルティ向上に効果的な施策を計画・実行するマーケティング活動(手法)を指す。関係性マーケティングの枠組みにおいて、顧客関係の構築にフォーカスした実践手法である。CRMにおける顧客との長期的な関係構築の手段は、大きく層別対応と個別対応の2種類に分類される。層別対応とは、顧客をA・B・Cなどのランクに分類し、各ランクに応じて異なるサービスや対応を提供する方法であり、RFM分析やFSP(Frequent Shoppers Program)が代表的な手法である。FSPとは、来店頻度の高い優良顧客に着目し、顧客の属する階層に応じたプロモーションを展開する仕組みである。一方、個別対応(ワントゥワンマーケティング)とは、顧客ごとに対応内容を変え、個々の属性やニーズ、嗜好、購買履歴に基づいてマーケティングを展開する手法であり、あたかも1対1の関係の中で製品やサービスを提供する考え方である。
試験のポイント
- ・CRMの2つのアプローチ(層別対応と個別対応)の違いは頻出である
- ・層別対応の代表手法としてRFM分析とFSPを、個別対応の代表としてワントゥワンマーケティングをそれぞれ紐づけて覚えること
- ・FSPでは優良顧客層に対するプロモーション展開がポイントであり、FSP実施後に優良顧客層に対してワントゥワンマーケティングを行う流れも理解しておくこと
CRMの分析手法と施策
簡単にいうと
CRMでは、お客さんの「いつ買ったか」「どれくらい買うか」「いくら使ったか」を分析して、もっと買ってもらう工夫をするよ。上位商品を勧めたり、関連商品を提案したりする方法があるんだ。
CRMの実践においては、複数の分析手法と施策が組み合わせて活用される。RFM分析は、R(Recency:最終購買日)、F(Frequency:購買頻度)、M(Monetary:購買金額)の3つの観点から顧客にポイントを付与し、その合計点で顧客をランク付けして管理する手法であり、ポイントの高い上位層には差別的に手厚いサービスを提供する。ワントゥワンマーケティングでは、顧客を個としてとらえ個別対応を行うのに対し、マスマーケティングやセグメントマーケティングでは集合体として顧客をとらえる点で対比される。顧客生涯価値(LTV:Customer Lifetime Value)とは、顧客が新規に購入してから一定年数を通じてその企業にもたらす収益の合計を、現時点の正味現在価値で表した金銭的指標である。顧客シェアとは、ある顧客が特定の製品分野で支出する総額のうち、自社への支払いが占める割合を示す指標で、顧客と企業の関係の深さを測定する。顧客シェアを高める具体的な取り組みとして、アップセル(購入済みの商品の上位モデルや高額商品を提案して販売する手法)とクロスセル(購入した商品に関連する別種の商品を推奨して販売する手法)がある。さらに、マスカスタマイゼーションとは、大量生産とカスタム化を融合させ、部品のモジュール化により低コストと豊富な製品バリエーションを両立し、本来は高コストとなる個々の顧客ニーズへの対応を可能にする手法である。
試験のポイント
- ・RFM分析のR・F・Mそれぞれの意味(Recency=最終購買日、Frequency=購買頻度、Monetary=購買金額)は正確に暗記すること
- ・顧客生涯価値(LTV)は「正味現在価値」で表す点、顧客シェアは「市場シェア」との混同に注意が必要である(顧客シェアは個々の顧客の支出に占める自社の割合)
- ・アップセルとクロスセルの違い(上位商品か関連商品か)は選択肢での引っかけポイントとなる
- ・マスカスタマイゼーションは「大量生産+個別対応」の両立という概念を理解しておくこと
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