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テキスト/企業経営理論/リーダーシップ論の変遷

リーダーシップ論の変遷

組織行動論

リーダーシップ研究は資質特性論から行動類型論、状況適合論、そして変革型リーダーシップ論へと発展してきた。各理論の特徴と提唱者を体系的に整理し、試験頻出ポイントを押さえよう。

1

資質特性論と行動類型論の概要

簡単にいうと

リーダーシップ研究は、まず「優れたリーダーにはどんな性格や特質があるか」を調べる資質特性論から始まり、次に「リーダーの行動パターン」に注目する行動類型論へと進化した。

資質特性論は、実績ある優秀なリーダーのパーソナリティや特質を分析し、リーダーシップとの相関を見出そうとした初期の研究アプローチである。しかし、性格要素を科学的に分解・実証して統一的な結論を導くことが困難であったため、限界が指摘された。そこで登場したのが行動類型論であり、リーダーの内面ではなく外的な行動パターンに着目し、類型化を試みるものである。代表的な研究として、(1)レビンのアイオワ研究では、民主型・専制型・放任型の3つのスタイルに分類し、民主型が集団の凝集性や満足度において最も優れるとした。(2)オハイオ研究では、「構造づくり」と「配慮」の2次元でリーダー行動を整理し、両方が高いリーダーのもとで業績と満足度が高まる傾向を示した。(3)ミシガン研究では、リッカートが「独善的専制型」「温情的専制型」「相談型」「参加型」の4システムを提示し、参加型の組織が理想形であるとした。また「生産志向型」と「従業員志向型」の2軸でも整理され、従業員志向型のリーダーが好ましいとされた。

具体例

オハイオ研究では、構造づくりと配慮の両方が高いリーダーのもとで部下の業績と満足度が向上するという結果が得られた。

理論/モデル
提唱者
特徴
分類
資質特性論
初期の研究者群
リーダーの性格・特質とリーダーシップの相関を分析
特性アプローチ
レビンの3類型
レビン
専制型・民主型・放任型に分類、民主型が最善
行動類型論
オハイオ研究
オハイオ州立大学
構造づくり×配慮の2次元で行動を分析
行動類型論
ミシガン研究(リッカート)
リッカート
4システム(独善的専制型~参加型)、参加型が理想
行動類型論
PM理論
三隅二不二
P機能(目標達成)×M機能(集団維持)の2軸で分類
行動類型論
マネジリアルグリッド
ブレイク&ムートン
業績への関心×人間への関心の9×9マトリクス
行動類型論
コンティンジェンシーモデル
フィードラー
LPC尺度と3状況要素で有効なスタイルを判定
状況適合論
パス・ゴール理論
ハウス
4つのリーダー行動を状況変数に応じて選択
状況適合論
SL理論
ハーシー&ブランチャード
フォロワーの成熟度に応じた4スタイル
状況適合論
カリスマ的リーダーシップ
ハウス
リーダーの個人的資質がフォロワーに深い影響を与える
新資質特性論
変革型リーダーシップ
バーンズ
組織文化や戦略の変革に注目、フォロワーとの相互依存的関係を重視
新資質特性論

試験のポイント

  • レビンの3類型の名称と結論(民主型が最善)、オハイオ研究の2次元(構造づくり×配慮)、リッカートの4システム(参加型が理想)は頻出
  • リッカートの参加型では部下の意思決定への参加が重視される点がひっかけで出題される
2

PM理論とマネジリアルグリッド

簡単にいうと

リーダーの行動を「目標を達成する力」と「チームをまとめる力」の2つの軸で評価する理論。どちらも高いリーダーが一番効果的とされている。

三隅二不二が提唱したPM理論では、リーダーシップをP機能(Performance=目標達成機能)とM機能(Maintenance=集団維持機能)の2つの軸で捉える。Pはオハイオ研究の「構造づくり」、Mは「配慮」にほぼ対応する概念である。PとMの両方が高いPM型のリーダーシップスタイルが、職務満足やチームワークの向上に最も効果的であるとされた。一方、ブレイク&ムートンが考案したマネジリアルグリッドは、「生産への関心」と「人への関心」の2軸を各9段階で評価する9×9のマトリクスである。代表的な5類型として、1・1型(無関心型)、9・1型(仕事中心型)、1・9型(人間中心型)、5・5型(常識型)、9・9型(チームマネジメント型)があり、9・9型が理想的なリーダーシップスタイルであるとされた。「生産への関心」はオハイオ研究の構造づくりやPM理論のP、「人への関心」は配慮やMに対応している。

具体例

マネジリアルグリッドの9・9型(チームマネジメント型)は、生産と人間の両方への関心が最大であり、最も望ましいスタイルとされる。

マネジリアルグリッドの図。横軸が業績への関心(1-9)、縦軸が人間への関心(1-9)で、5つの典型的リーダーシップスタイルが配置されている。(1,1)無関心型、(9,1)権限服従型、(1,9)カントリークラブ型、(5,5)中庸型、(9,9)チーム型。

マネジリアルグリッド

試験のポイント

  • PM理論のP=目標達成機能、M=集団維持機能という対応関係を正確に覚えること
  • マネジリアルグリッドでは9・9型(チームマネジメント型)が理想とされる点、5つの代表類型の名称と位置関係が問われる
  • オハイオ研究やミシガン研究との対応関係も頻出
3

フィードラーのコンティンジェンシーモデル

簡単にいうと

「最高のリーダーシップは状況によって変わる」という考え方の代表的理論。リーダーのタイプと置かれた状況の組み合わせで、有効なスタイルが決まるとした。

F.E.フィードラーが提唱したコンティンジェンシーモデルは、行動類型論が示した「唯一最善のスタイル」が現実には通用しないケースがあることから、リーダーの行動だけでなく置かれた状況にも目を向ける必要があるとして展開された状況適合論の先駆けである。フィードラーはリーダーシップを人間関係志向とタスク志向の2つに分類し、LPC尺度(Least Preferred Coworker=最も一緒に仕事をしたくない同僚への評価スコア)によってリーダーのタイプを判定する。高LPCのリーダーは人間関係志向、低LPCのリーダーはタスク志向の傾向を持つ。状況を規定する3要素は、(1)リーダーと成員の関係(支持・受容の度合い)、(2)タスクの構造(目標や手順の明確さ)、(3)地位に基づくパワー(公式の権限や賞罰の付与能力)である。これら3要素の組合せで8つの状況カテゴリーが生まれ、リーダーにとって好ましい状況と好ましくない状況の両極端ではタスク志向型が、中間的な状況では人間関係志向型が高業績をもたらすとした。

具体例

LPC尺度で苦手な同僚にも寛大な評価をする高LPCリーダーは人間関係志向型、厳しく評価する低LPCリーダーはタスク志向型と判定される。

試験のポイント

  • LPC尺度の意味(高LPC=人間関係志向、低LPC=タスク志向)を正確に把握すること
  • 3つの状況要素の名称は頻出
  • 両極端の状況ではタスク志向型、普通の状況では人間関係志向型が有効という結論も重要
  • 状況の決定要因は(1)リーダーとメンバーの人間関係、(2)課題の構造化の度合い、(3)リーダーの職位に基づくパワーの3つ
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パス・ゴール理論

簡単にいうと

リーダーの役割は、部下が目標(ゴール)に到達するための道筋(パス)を明確にし、障害を取り除くことだという理論。状況に応じて4つのリーダー行動を使い分ける。

ハウスが提唱したパス・ゴール理論(目標-経路理論)は、望ましいリーダー行動が「部下の特徴」と「仕事環境の特徴」という2種類の状況変数に応じて異なるとするモデルである。リーダーの役割は部下の期待する報酬を大きくし、その報酬に至る経路を明確にして障害を除去し、個人の満足や達成の機会を増やすことにある。4つのリーダーシップ行動は次の通り。(1)指示型:部下の活動の計画・組織化・統制・調整を行う。タスクの構造が高く曖昧さが少ない場合は不向きだが、コンフリクトやストレスが多い環境では有効。(2)支援型:部下の欲求に関心を持ち、友好的で働きやすい環境をつくる。構造化されたタスクに携わる部下に対して効果的。(3)参加型:部下と情報を共有し、意思決定に部下のアイデアを反映させる。自らの状況をコントロールできると考える部下に有効。(4)達成志向型:挑戦的な目標を設定し、部下に最大限の努力を期待して成果向上を求める。タスクが曖昧な状況で部下の期待を高める効果がある。部下の特徴としてはローカス・オブ・コントロール、経験、認知された能力が、仕事環境の特徴としてはタスク構造、公式の権限体系、ワークグループの成熟度が状況要因となる。

具体例

タスクが明確に構造化されている職場では、指示型リーダーシップは不要であり、支援型のほうが部下の満足度を高めるとされる。

試験のポイント

  • 4つのリーダーシップ行動(指示型・支援型・参加型・達成志向型)の名称と内容は必須
  • 各行動がどのような状況で有効かの対応関係が問われる
  • 特に指示型は構造化されていない曖昧なタスクに有効、支援型は構造化されたタスクに有効というのがひっかけポイント
  • 部下の特徴と仕事環境の特徴の具体的要素も出題される
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SL理論

簡単にいうと

部下の成熟度(やる気と能力のレベル)に合わせて、リーダーのスタイルを変えていくべきだという理論。部下が成長するにつれて、指示的なスタイルから徐々に任せるスタイルへ移行する。

ハーシーとブランチャードが提唱したSL理論(Situational Leadership Theory=状況対応型リーダーシップ理論)は、フォロワー(部下)の成熟度を状況変数の中核に据えた点が特徴である。成熟度は「能力」と「意欲」の2つの観点から評価され、4つの段階に分けられる。それぞれの段階に応じて最適なリーダーシップスタイルが異なるとした。(1)成熟度が低い段階(能力も意欲も低い):教示的スタイル(telling)で具体的に指示し監督する。(2)やや低い段階(意欲はあるが能力不足):説得的スタイル(selling)で方向性を示しつつ説明・動機づけを行う。(3)やや高い段階(能力はあるが意欲にムラ):参加的スタイル(participating)でリーダーと部下が共同で意思決定する。(4)高い段階(能力も意欲も高い):委任的スタイル(delegating)で権限を委譲し、部下に自律的に任せる。フォロワーの成長に伴い、リーダーは高指示・低協労のスタイルから低指示・低協労のスタイルへと段階的に移行すべきであるとする。

具体例

新入社員(成熟度低)には教示的スタイルで細かく指示し、ベテラン社員(成熟度高)には委任的スタイルで自主性に任せるのがSL理論の考え方。

試験のポイント

  • 4段階のスタイル名(教示的→説得的→参加的→委任的)と対応する成熟度の順序を正確に覚えること
  • フォロワーの成熟度が上がるほどリーダーの関与度が下がるという方向性が重要
  • パス・ゴール理論との違いとして、SL理論はフォロワーの成熟度のみを状況変数とする点が特徴的
6

カリスマ的・変革型リーダーシップ

簡単にいうと

リーダー個人の魅力やビジョンで組織を大きく変えていくリーダーシップ。従来の「報酬と罰で人を動かす」交換型とは対照的に、フォロワーの内面に深く働きかける点が特徴。

ハウスが提唱したカリスマ的リーダーシップ論は、リーダーシップの源泉がリーダー個人の資質にあるとし、フォロワーに対して深く尋常でない影響を及ぼせるリーダーの特質に注目する。カリスマ的リーダーは自らの行動や姿勢に自信を持ち、確信をもってフォロワーが達成すべき目標を示し、それに至る道筋を提示できる人物である。一方、バーンズが提唱した変革型リーダーシップ論は、不透明な状況下でのリーダーの組織文化や戦略に対する変革力に着目したものである。変革型リーダーはフォロワーとの相互依存的な関係を重視し、積極的にフォロワーの信念やニーズ、価値観を望む方向へ導こうとする。対照的にトランザクショナル(交換型)リーダーシップは、報酬や罰則を用いた取引的関係に基づくものであり、変革型はこれを超えてフォロワーの内発的動機づけに訴えかける。いずれもリーダー個人の資質に改めて焦点を当てたことから「新資質特性論」とも呼ばれる。

具体例

変革型リーダーは部下のビジョンや価値観に働きかけて内発的な動機づけを行うのに対し、交換型リーダーは報酬や昇進と引き換えに業績を求める。

試験のポイント

  • カリスマ的リーダーシップと変革型リーダーシップの違いを区別すること
  • 変革型vsトランザクショナル(交換型)の対比は頻出
  • カリスマ的リーダーシップの提唱者はハウス、変革型リーダーシップの提唱者はバーンズであることも重要
  • 両者とも「新資質特性論」に分類される点を押さえる

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