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企業ドメインと事業ドメイン

企業戦略(成長戦略)

ドメインには「企業ドメイン」と「事業ドメイン」の2つのレベルがあり、それぞれ定義すべき範囲と担い手が異なります。エーベルの3次元枠組みも含めて整理します。

1

マネジメントサイクル(PDS・PDCA)

簡単にいうと

「計画して、やって、振り返る」——この繰り返しが経営管理の基本です。2つのサイクルの違いを押さえましょう。

マネジメントサイクルとは、経営活動を計画的に進め、継続的に改善していくための管理の流れのことです。代表的なものにPDSサイクルとPDCAサイクルがあります。

【PDSサイクル】は、計画(Plan)→ 実行(Do)→ 統制(See)の3段階で構成されます。シンプルな管理の基本形で、実行結果を「見て評価する」ことに重点を置いています。

【PDCAサイクル】は、計画(Plan)→ 実行(Do)→ 評価(Check)→ 改善(Action)の4段階です。PDSの「統制」を「評価」と「改善」に分けることで、具体的にどう直すかまで踏み込む点が特徴です。

さらに詳しく見ると、PDCAの各段階は以下のように細分化されます:

・Plan段階:目標設定 → 計画化

・Do段階:組織化 → 組織構成員の動機づけ → 指揮・命令 → 実行

・Check段階:成果の測定・評価

・Action段階:必要に応じた修正・改善の実施

【PDSとPDCAの主な違い】

PDSは3ステップ(Plan→Do→See)のシンプルな枠組みで、「統制(See)」が評価と是正を一括して扱います。これに対しPDCAは4ステップで、評価(Check)と改善(Action)を明確に分離しています。PDCAでは「何がうまくいかなかったか」の分析と「どう改善するか」のアクションを別工程として扱うため、より具体的な改善活動につなげやすい点が強みです。

1サイクルが完了したら、その反省点を次の計画に反映させ、再び新たなサイクルを開始します。これを繰り返すことで螺旋状に管理水準を高めていきます。

具体例

製造現場で月次の生産目標を立て(P)、実際に生産し(D)、不良品率を測定して目標と比較し(C)、原因を特定して工程を改善する(A)——これがPDCAの典型的な回し方です。

項目
PDSサイクル
PDCAサイクル
段階数
3段階
4段階
構成要素
Plan → Do → See
Plan → Do → Check → Action
第3段階の名称
統制(See)
評価(Check)
改善の扱い
統制の中に含まれる
独立した段階(Action)として分離
特徴
シンプルで基本的な管理枠組み
評価と改善を分けてより具体的な改善活動が可能
適した場面
定型的な業務管理
継続的改善が求められる場面

試験のポイント

  • PDSとPDCAの違い(3段階 vs 4段階)を問う問題が出ます
  • PDCAの「C」はCheckであってControlではない点にも注意してください
  • PDSの「See(統制)」がPDCAでは「Check(評価)」と「Action(改善)」に分かれている構造を理解しましょう
2

経営計画の種類

簡単にいうと

経営計画にはいろいろな分け方があります。期間の長さによって名前が変わりますよ。

経営計画とは、企業において策定される諸計画のことで、「誰が、いつ、何を行うのか」という具体的な行動予定を示すものです。

【期間別の分類】

・短期計画:1年以内の計画。予算や具体的な実行スケジュールなど、業務レベルの内容が中心です。

・中期計画:2〜3年の範囲の計画。短期と長期をつなぐ橋渡し的な役割を果たします。

・長期計画:1年を超える計画を広く指しますが、特に3〜5年の範囲を長期計画と呼ぶことが多いです。

【注意すべきポイント】

一般的な定義では「1年以内=短期」「1年超=長期」と二分されますが、実務的には「2〜3年=中期」「3〜5年=長期」と三分する考え方も広く使われています。試験ではどちらの区分で出題されているかを文脈から読み取ることが重要です。

計画の期間が長くなるほど内容は抽象的・戦略的になり、短くなるほど具体的・業務的になるという特徴があります。

具体例

ある食品メーカーでは、5年後に海外売上比率30%を目指す長期計画のもと、中期計画でアジア3カ国への進出を決定し、短期計画で初年度の工場建設スケジュールを策定しました。

分類
期間
内容の特徴
具体例
短期計画
1年以内
具体的・業務的
年間予算、四半期販売目標
中期計画
2〜3年
短期と長期の橋渡し
新規事業の立ち上げ計画
長期計画
3〜5年(広義では1年超)
抽象的・戦略的
海外進出ビジョン、成長戦略

試験のポイント

  • 長期・中期・短期の期間区分と、それぞれに含まれる計画内容の対応を問われます
  • 「戦略的計画=長期」「業務的計画=短期」の対応も重要です
  • 年数の定義(短期=1年以内、中期=2〜3年、長期=3〜5年)は正確に覚えましょう
3

ローリングプラン

簡単にいうと

一度作った計画を毎年アップデートしていく方式です。環境変化が速い時代にぴったりの考え方ですね。

ローリングプランとは、中・長期計画の内容を定期的に見なおし、部分的に修正を加えていく計画技法のことです。

たとえば5年計画を策定した場合、1年が経過したら実績と環境変化をふまえて残り4年分を修正し、さらに新たに1年分を追加することで、常に「直近5年分」の計画が存在する状態を保ちます。

固定的な計画と比べて環境変化に柔軟に対応できるメリットがある一方、毎期の見直しに手間とコストがかかるデメリットもあります。

具体例

IT企業が毎年4月に中期3カ年計画をローリングで更新し、技術トレンドや競合の動きに合わせて重点投資分野を差し替えていくイメージです。

試験のポイント

  • 「固定計画との違い」と「メリット(柔軟性)・デメリット(コスト)」の両方が問われます
  • コンティンジェンシープランとの混同に注意してください
4

コンティンジェンシープラン

簡単にいうと

「もし○○が起きたら?」に備える計画です。シャドープランとも呼ばれます。最悪の事態を想定しておくことで、いざというとき慌てずに済みます。

コンティンジェンシープランとは、企業の業績に対する影響の大きい不測事象をあらかじめ想定し、その適応行動を事前に策定しておく計画のことです。「状況対応計画」や「シャドープラン」とも呼ばれます。

通常の経営計画が「こうなるだろう」という想定のもとで作られるのに対し、コンティンジェンシープランは「もしこうなったらどうするか」という複数のシナリオを用意する点が特徴です。

【メリット】

・不測の事態が発生した際に、適応行動の柔軟性と迅速性が高まる

・事前にリスクを洗い出すことで、リスク認識が向上する

【デメリット】

・複数シナリオの策定にかかるコストが増大する

・計画の数が多くなると管理が複雑になる

メリットとデメリットのバランスをどこでとるか、つまり妥協点の見極めが策定上の最大のポイントとなります。

具体例

製造業で主要サプライヤーが被災した場合に備え、代替調達先リストと切り替え手順をあらかじめ準備しておくのがコンティンジェンシープランの一例です。

観点
内容
別名
状況対応計画、シャドープラン
メリット①
不測事態への適応行動が柔軟かつ迅速になる
メリット②
リスクの事前認識が向上する
デメリット①
複数シナリオ策定によるコスト増大
デメリット②
計画数の増加で管理が複雑化
策定のポイント
メリットとコストの妥協点をどこに設定するか

試験のポイント

  • ローリングプラン(定期見直し)との違いが頻出です
  • 「シャドープラン」という別名も覚えましょう
  • メリット(柔軟性・迅速性)とデメリット(コスト増大)のトレードオフも問われます
  • ローリングプランは「既存計画の定期修正」、コンティンジェンシープランは「不測事態への事前準備」という目的の違いを明確に区別してください
5

BCP(事業継続計画)

簡単にいうと

コンティンジェンシープランの発展形ともいえます。災害やテロが起きても、事業を止めない・早く復旧するための計画です。

BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)とは、自然災害・大火災・テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合に、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続や早期復旧を可能にするための計画です。

【BCPの主な内容】

・平常時の備え:バックアップ体制の整備、代替拠点の確保、従業員の安否確認手段の構築など

・緊急時の対応:中核事業を継続するための方法・手段、復旧の優先順位、指揮命令系統の明確化

【BCPの特徴】

BCPは「事業の継続と早期復旧」に焦点を当てている点が最大の特徴です。単に「緊急時にどう対応するか」を定めるだけでなく、「中核事業をいかに止めないか」「止まった場合にいかに早く復旧させるか」という事業視点を中心に据えています。

【コンティンジェンシープランとの違い】

コンティンジェンシープランは不測事態への対応手順を幅広く定める計画であるのに対し、BCPは特に「事業の継続性」を主眼とした計画です。BCPはコンティンジェンシープランをより発展させた、事業存続に焦点を絞った概念といえます。

具体例

金融機関が本社が被災しても顧客サービスを止めないよう、遠隔地にバックアップセンターを設置し、定期的に切り替え訓練を行うのがBCPの取り組みです。

項目
コンティンジェンシープラン
BCP
主な目的
不測事態への対応手順の策定
中核事業の継続と早期復旧
対象範囲
幅広いリスクシナリオ
事業存続に関わる重大リスク
焦点
「どう対応するか」
「事業をいかに止めないか・復旧させるか」
平常時の活動
シナリオ策定が中心
バックアップ体制・代替拠点の整備など
別名
シャドープラン
事業継続計画

試験のポイント

  • BCPとコンティンジェンシープランの違い(事業継続の視点 vs 緊急対応の視点)が問われます
  • 東日本大震災以降、出題頻度が上がっています
  • BCPでは「中核事業」の特定と「復旧の優先順位」の策定が重要な構成要素であることを押さえましょう
6

プロセス型(学習型)アプローチ

簡単にいうと

「計画通りにいかない」ことを前提にした、新しい戦略の考え方です。やりながら学んで戦略をつくっていくスタイルですね。

プロセス型(学習型)アプローチとは、事前に完璧な計画を立てるのではなく、実行プロセスの中で試行錯誤しながら学習し、戦略を創発的に形成していく考え方です。

【従来の計画型アプローチの限界】

経営環境が安定している場合、過去の事業活動の分析に基づいた計画がうまく機能する可能性は高いとされます。しかし不確実性が高い状況では、事前の計画が想定通りに機能しないケースも多くなります。さらに、分析を重視するあまり現場の実情を軽視したり、現状の変化を感じ取る力が低下する「分析麻痺症候群(Analysis Paralysis)」に陥る危険性があります。

【分析麻痺症候群とは】

分析麻痺症候群とは、データの収集や分析に過度に時間と労力を費やすことで、かえって意思決定や行動が遅れてしまう状態を指します。計画型アプローチの弊害として、分析結果を過信して現場の生きた情報を見落とすことが典型的な症状です。

【プロセス型アプローチの考え方】

1970年代末以降に注目されるようになったこのアプローチでは、実行段階において予測しえない状況に直面しても、それを学習の機会ととらえます。実行プロセスを見直しながら、事後的に戦略を創り出していく(創発的戦略)のが特徴です。

【実現のための要件】

戦略や計画の策定をトップマネジメントや本社スタッフだけに任せるのではなく、現場を含む組織全体で戦略を生み出していく体制が必要です。現場からのボトムアップの情報や気づきが、戦略創発の原動力となります。

具体例

スタートアップ企業が最初から完璧な事業計画を作るのではなく、MVP(最小限の製品)をリリースして顧客の反応を見ながら方向性を修正していくのは、学習型アプローチの典型です。

項目
計画型アプローチ
プロセス型(学習型)アプローチ
前提
環境はある程度予測可能
環境は不確実で予測困難
戦略の形成
事前に分析・策定
実行しながら創発的に形成
重視するもの
データ分析・論理的計画
現場の学習・試行錯誤
策定の主体
トップ・本社スタッフ中心
現場を含む組織全体
リスク
分析麻痺症候群に陥る可能性
方向性が定まりにくい可能性
注目された時期
従来からの主流
1970年代末以降

試験のポイント

  • 計画型アプローチとの対比が定番の出題パターンです
  • 「分析麻痺症候群(Analysis Paralysis)」「創発的戦略」といったキーワードとセットで覚えましょう
  • 過去問H25-1では、計画遂行プロセスでの学習が重要であるという選択肢が正解でした
  • 分析麻痺症候群は「分析しすぎて動けなくなる」ことだと端的に理解しておきましょう

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