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テキスト/企業経営理論/人的販売と販売促進

人的販売と販売促進

プロモーション戦略

プロモーション・ミックスの中でも、販売員が顧客と直接やり取りする人的販売と、短期的な購買刺激を目的とした販売促進は、試験で頻出のテーマである。さらに、これらを含む全てのコミュニケーション手段を一貫性をもって統合するIMC(統合型マーケティングコミュニケーション)の考え方も重要となる。本セクションでは、人的販売の特徴、消費者向け・流通業者向けの販売促進手法、そしてIMCとコンシューマーインサイトの概念を整理する。

1

人的販売

簡単にいうと

営業担当者がお客さんと直接会って商品を売り込む活動のこと。一人ひとりに合わせた提案ができる反面、コストが高くつくのが特徴だよ。

人的販売とは、販売員が主に店頭などの場面で顧客と1対1で向き合い、口頭でメッセージを届ける活動を指す。この直接的なコミュニケーションによって、購買につなげるだけでなく、商品や店舗へのイメージを形づくる効果もある。人的販売は、消費者1人あたりの情報伝達にかかるコストが相対的に高いため、高額な商品や複雑な説明を要する製品の販売に特に適している。また、プロモーション手段としての側面に加え、販売員個人の信頼性や人間的魅力、そして企業への信頼を積み上げていくことが極めて重要な要素となる。

観点
メリット
デメリット
顧客対応
個別ニーズに合わせた柔軟な対応が可能
伝達できる顧客数に限界がある
情報伝達
口頭プレゼンにより複雑な情報も伝えられる
活動の質が販売員の能力や人間性に左右される
関係性
顧客との信頼関係を構築できる
1人あたりの情報伝達コストが高い

試験のポイント

  • メリット3点(個別ニーズへの対応が可能、口頭プレゼンによる複雑な情報伝達、信頼関係の構築)とデメリット3点(伝達可能な顧客数に限界あり、販売員の能力・人間性に依存、1人あたりコストが高い)をセットで問われることが多い
  • 高額商品・複雑商品に適している点も頻出
2

販売促進(消費者向け)

簡単にいうと

お店でよく見かける試供品やポイントカードなどは、すべて消費者向けの販売促進手法。短い期間で購買意欲をグッと高めるための仕掛けだよ。

販売促進とは、消費者の購買意欲や販売店の販売意欲を喚起するための活動全般を意味する。消費者向けの販売促進には主に8つの手法がある。(1)POP広告は、小売店の店頭にスタンドやポスター、陳列台などを設置して非計画購買を促し販売効率を高める購買時点広告である。(2)発表会・展示会は、メーカーが新製品発表会を開催したり、業界企業が集まる展示会で製品紹介と受注活動を同時に行う手法である。(3)サンプルは、新製品の試用機会を提供するために製品見本を無料で配布するものである。(4)プレミアムは、購入意欲の喚起や認知度向上のために用いる景品類で、物品のほかクーポンやポイント、旅行招待なども含まれる。(5)ノベルティは、企業名や商品名、ブランド名を入れた粗品を宣伝目的で配布するものである。(6)実演(デモンストレーション)は、実際にその場で製品を使用し、性能やメリットを消費者に体感してもらう手法である。(7)ポイントカードは、購入額に応じてポイントを付与し、割引や金券提供などの特典につなげる仕組みである。(8)会員カードは、顧客の組織化を図り、会員限定の価格優遇や購入特典を提供するとともに、顧客属性や購買履歴をデータベース化して品揃えや販促活動に活用する手法である。

手法
目的・特徴
具体例
POP広告
店頭で非計画購買を促進する購買時点広告
スタンド、ポスター、陳列台
発表会・展示会
製品紹介と受注を同時に実施
新製品発表会、業界展示会
サンプル
新製品のトライアル需要を創出
無料試供品の配布
プレミアム
購入意欲の喚起・認知度向上のための景品
クーポン、ポイント、旅行招待
ノベルティ
企業名・ブランド名入りの宣伝用粗品
名入りボールペン、カレンダー
実演
製品の性能・特徴を実体験で伝達
店頭デモンストレーション
ポイントカード
購入額に応じた特典で再購買を促進
ポイント還元、金券提供
会員カード
顧客の組織化とデータベース構築
会員限定価格、購買履歴の分析活用

試験のポイント

  • 8つの手法の名称と内容の正確な理解が求められる
  • 特にPOP広告がPoint of Purchase(購買時点広告)の略であること、プレミアムとノベルティの違い(プレミアム=購買を促す景品類、ノベルティ=企業名入りの宣伝用粗品)は頻出の引っかけポイント
  • 会員カードによる顧客データベース化の意義も問われやすい
3

販売促進(流通業者向け)とリベート

簡単にいうと

メーカーが卸売業者や小売業者に対して行う販売促進がリベート。取引の際に価格を割り引いたり、後から現金や現物で還元して長期的な協力関係を保つ仕組みだよ。

流通業者向けの販売促進の代表的手法がリベートである。リベートとは、メーカーが流通業者に対して取引の際に価格の割引を行うもので、直接的な値引きだけでなく、一定期間が経過した後に現金や現物として提供されるケースもある。リベートの本質的な目的は、売り手と買い手の間で正規価格による取引を維持しつつ、流通業者との長期的な協力関係を構築・維持することにある。なお、アローワンスとは、流通業者が特定の販促活動(例えば店頭での陳列協力や広告掲載など)を実施した場合に、その活動に対してメーカーが支払う報奨金のことであり、リベートとは異なり特定の活動への対価という性質を持つ。

試験のポイント

  • リベートの定義として、正規価格での取引を前提としつつ事後的に割引・還元する仕組みであること、その目的が流通業者との長期的協力関係の維持にあることが問われる
  • アローワンスとの違い(リベート=取引全般に対する割引還元、アローワンス=特定の販促活動に対する報奨金)も出題されやすい
4

IMCとコンシューマーインサイト

簡単にいうと

広告もPRも販促も人的販売も、バラバラにやるのではなく全部まとめて一貫したメッセージを届けようという考え方がIMC。その鍵を握るのが、消費者の本音を深く理解するコンシューマーインサイトだよ。

IMC(Integrated Marketing Communications:統合型マーケティングコミュニケーション)とは、自社とその製品に関するメッセージに明確な一貫性を持たせるために、社内外の広告、HP、マス広告、セールスプロモーション、ダイレクトマーケティング、PRなどのあらゆるコミュニケーション手段を戦略的に統合する考え方である。IMCの目標は、自社製品が消費者にとって意味のある存在となるよう双方向のコミュニケーション活動を展開し、長期にわたる関係性を構築することにある。そのためには、消費者が企業発信のコミュニケーションを一方的に受け取るだけの状態を脱し、能動的に関わる状況をつくることが求められる。この実現において不可欠なのがコンシューマーインサイトであり、これはさまざまな消費者情報を収集・分析し、消費者の心の深層にある複雑な心理的側面(動機づけや感情など)や行動パターンを理解することを意味する。

試験のポイント

  • IMCの定義として、広告・販促・PR・人的販売など全てのコミュニケーション手段を一貫性をもって戦略的に統合する点が最重要
  • 企業理念・事業戦略・ブランド戦略の中で統一されたメッセージとして結びつけることが欠かせないという点も過去問で出題されている(H21-27)
  • コンシューマーインサイトは消費者の表面的な行動だけでなく深層心理まで把握する概念であることを押さえておくこと

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