景気動向指数
国民経済計算と主要経済指標
この節では、景気の現状把握や先行きの予測に用いられる景気動向指数について学びます。DI(ディフュージョン・インデックス)とCI(コンポジット・インデックス)の違い、先行系列・一致系列・遅行系列の分類を理解しましょう。
DIとCI
簡単にいうと
景気動向指数には2種類あるよ!DIは「景気が良くなっている指標が何割あるか」、CIは「景気変動の大きさ」を測るもの!今はCIが中心だよ!
景気動向指数とは、内閣府が毎月公表している景気判断のための指標です。複数の経済データを組み合わせて景気の状態を総合的に把握するもので、DIとCIの2種類があります。
① DI(ディフュージョン・インデックス = 景気動向の方向性を示す指数)
DIは、採用されている複数の経済指標のうち、前月より改善した指標が全体の何%あるかを示します。
DIの読み方はシンプルです。
- DI > 50% → 過半数の指標が改善しているので、景気は拡張局面にある
- DI < 50% → 過半数の指標が悪化しているので、景気は後退局面にある
- DI = 50% → ちょうど半数が改善・悪化しており、景気の転換点(山または谷)にあたる
DIは景気の方向性(テンポ)を教えてくれますが、「どれくらい良くなっているか」という量的な情報は含みません。
② CI(コンポジット・インデックス = 景気変動の大きさを示す指数)
CIは、採用系列の変化率を合成した指数で、景気変動の大きさ(量感)を示します。CIが上昇していれば景気は拡張局面、下降していれば後退局面と判断します。
2008年4月以降、日本ではCIが中心的な指標に切り替わりました。DIでは「良くなっているか悪くなっているか」しかわかりませんが、CIなら「どれくらい良くなっているか」も把握できるからです。
具体例
DIの計算を具体的にやってみましょう。
景気動向指数に採用されている経済指標が10個あるとします。そのうち7個が前月より改善し、3個が悪化した場合、DIは次のように計算します。
70%は50%を超えているので、「過半数の指標が改善 → 景気は拡張局面にある」と判断できます。
ただし、DIには弱点があります。たとえば10個のうち6個が「ほんの少しだけ改善」で、4個が「大幅に悪化」した場合でもDIは60%になり、拡張局面と判断されます。変化の「大きさ」を見ることができないのです。
そこでCIの出番です。CIは各指標の変化幅も考慮して合成するため、上のようなケースではCIが下降して「実質的には景気が弱まっている」ことを示してくれます。
試験のポイント
- ・要は「DIは改善指標の割合(50%が転換点)、CIは変動の大きさを測る合成指数」
- ・DIの50%ルール(景気の山・谷)は頻出
- ・2008年以降CIが中心指標に変更された点も出題される
先行系列・一致系列・遅行系列
簡単にいうと
景気に先に動く指標、同時に動く指標、遅れて動く指標の3グループがあるよ!株価は先行、有効求人倍率は一致、完全失業率は遅行!
景気動向指数に採用されている経済指標は、景気との時間的な関係に基づいて3つのグループに分類されています。
① 先行系列(景気に先行して動く指標群、約11系列)
景気が変化する「前触れ」となる指標です。景気の先行きの予測に使われます。
代表的な指標: 新規求人数、新設住宅着工床面積、東証株価指数、消費者態度指数、マネーストック(M2)
株価が先行系列に入っているのは、投資家が「将来の企業業績」を予想して売買するため、景気が実際に良くなる前から株価が上がり始めるからです。
② 一致系列(景気とほぼ同時に動く指標群、約10系列)
景気の動きとほぼ同時に変動する指標です。景気の現状判断に使われます。
代表的な指標: 鉱工業生産指数、有効求人倍率(除学卒)、耐久消費財出荷指数、商業販売額
有効求人倍率は「今、企業がどれだけ人を求めているか」をリアルタイムで反映するため、一致系列に分類されます。
③ 遅行系列(景気に遅れて動く指標群、約9系列)
景気が変化した「あと」からついてくる指標です。景気の事後的な確認に使われます。
代表的な指標: 完全失業率、法人税収入、消費者物価指数(生鮮食品除く)、家計消費支出
完全失業率が遅行系列なのは、景気が悪化してもすぐには解雇されず、しばらくしてから雇用への影響が出るためです。
| 系列 | 役割 | 代表的な指標 |
|---|---|---|
| 先行系列 | 景気予測 | 株価、新規求人数、マネーストック |
| 一致系列 | 現状判断 | 鉱工業生産、有効求人倍率 |
| 遅行系列 | 事後確認 | 完全失業率、法人税収入、CPI |
具体例
景気が回復局面に入るときの流れを追ってみましょう。
第1段階(先行系列が動く):
まず株価が上がり始めます。投資家が「そろそろ景気が良くなりそうだ」と予想して買い始めるからです。同時に、新規求人数も増え始めます。企業が将来を見越して採用の準備を始めるためです。
第2段階(一致系列が動く):
少し遅れて、鉱工業生産が実際に増え始めます。工場の稼働率が上がり、モノが売れるようになります。有効求人倍率も改善し、「求職者1人あたりの求人数」が増えてきます。
第3段階(遅行系列が動く):
さらに遅れて、完全失業率がようやく低下し始めます。企業が実際に人を雇い始めた結果が数字に表れるまでにタイムラグがあるからです。法人税収入も企業決算の確定後に増加するため、遅れて動きます。
このように3つの系列の時間差を利用して、先行指数の動きから「数か月先の景気」を予測できるのです。
試験のポイント
- ・要は「先行=株価・新規求人、一致=生産・有効求人倍率、遅行=失業率・法人税」の分類を覚える
- ・特に有効求人倍率(一致)と完全失業率(遅行)の違い、株価が先行系列であることは頻出
- ・各系列の「役割」(予測・現状判断・事後確認)も問われる
まとめ
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